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大学入試において理系生徒のほとんどが受験に利用する化学。最近では、センター試験から共通テストに変わり、出題のされ方も大きく変わりました。
今回は、スタディカルテLabに所属するプロの化学講師たちの対談を通して、化学の最新入試動向や、共通テスト対策について深堀りしていきます。ぜひご覧ください。
— 本日はお集まりいただきありがとうございます。
早速ですが、最新の入試動向についてお話を伺えたらと思います。化学は、2022年の高校1年生から指導要領が変わりましたよね。どのような変更点があったのでしょうか。
中谷
もともと海外の化学の常識と日本の化学の常識がずれているところがあって、そのずれを修正していこうという流れになっています。今回の指導要領改定もその一環ですね。
ちなみに、今年の高校1年生から教科書が変わっているので、現在の2、3年生には基本的には影響ありません。
— なるほど、世界のスタンダードに合わせた改定なのですね。具体的にどう変わるのですか?
河原田
アルカリ土類金属の話が一番大きいです。これまで周期表の2族元素はベリリウムとマグネシウムを除いた4つがアルカリ土類金属として分類されていましたが、新課程ではベリリウムとマグネシウムも含めた2族の全てがアルカリ土類金属に含まれます。また、12族が遷移元素になりますね。
中谷
IUPAC命名法という世界基準の命名法に合わせた形ですね。
濱
沈殿の仕方で「アルカリ土類は沈殿するやろ!」みたいな教え方がしにくくなりますね(笑)。
河原田
確かに(笑)。あと、今までは大学の範囲だった熱力学分野の「エンタルピー」と「エントロピー」も必修になりますよね。
山﨑
そうですね。電子軌道や混成軌道も高校化学の範囲に入るようです。
河原田
教科書の書かれ方も結構変わってきていますよね。
例えば、動画が見られるQRコードが盛り込まれるなど、僕も時代に合わせて刷新しないといけないと思い、読み始めているところです。
— センター試験から共通テストに変わり、特に2022年度入試は難化したといわれています。来年の共通テストはどう対策していくべきでしょうか。
中谷
前提として、化学は理論・無機・有機が幅広く問われるので、高得点を取るには分野に関わらず全体的に力を付ける必要がありますよね。
山﨑
特に共通テストはセンター試験に比べて、情報整理が必要な問題が多くなっています。問題集を解く際は、図を描くなど自分で状況を理解して他人に説明できる力が必要だと思います。
濱
問題読解の正確さも重要ですよね。
自分が授業をする時は、「なんでこの操作やってると思う?」「これせんかったらどないなる?」と、こまめに生徒に問うようにしています。まずは言葉の定義や因果関係を丁寧に追うことで点数は伸びると思います。ただ、最初はこれを身につけてもらうのがめっちゃ大変です(笑)。
中谷
そうですよね。
問題を解くにも解説を読むにも、ある意味国語力が求められている気がします。
河原田
国語力の重要性が増しているのは僕も感じます。これまで国語や英語を中心に運用されてきた力が理系にも求められるようになっているのかもしれないですね。
濱
国語や英語と違う点としては、言葉の定義をしっかり押さえるところが理系教科の難しさなのかな、という気がします。国語だったら漢字を見れば何となく意味が分かることもあるけれど、化学ではそうはいかない。
例えば水素結合の説明をちゃんと話せる人って意外と少ないですよね。そういった一見当たり前のことをちゃんと噛み砕いて言語化できるかどうかがポイントになってきそうです。
河原田
確かに。僕たちもそういう点に気を配りながら指導を頑張らないとですね。
— 先生方が指導の上で行っている工夫はありますか?
山﨑
共通テストで思考型の問題が増えたこともあり、指導の際には、生徒に、正解した問題も、解き方や方針をもう一度見直して説明できるようにしてもらっています。「なんでこんな立式しようと思ったの?」など、思考の過程はいろいろ聞きますね。
あと、気体や実験系の問題では、とにかく図を描いてもらいます。特に気体の問題は苦手な生徒さんが多いですが、僕が指導している限り苦手な生徒さんには図を書く習慣がないことが多いです。問題が変わったときにも対応できるように、まずは図を描く癖を付けてほしいですね。
濱
図を描くのは大事ですよね。
僕は、文章から読み取れること・読み取れないことをきちんと分けることを意識してもらうようにしています。実際、問題文から読み取れないことを勝手に読み取っている子は多いです。指導の際には「そんなこと言ってる?」「この問題文でそこまでわかるん?」と確認しながら進めますね。
山﨑
ただ、解説を読むだけでは、そういった思考型問題に対応できる力を付けるのは難しいのも事実ですよね。僕たちがサポートしながらやる必要があるのかな、とは思います。
中谷
もちろん対策を特別変える必要が無い生徒さんもいますが、共通テストになって、よりサポートが必要な生徒さんが増えた印象です。導く人がいないと自分で乗り越えられない壁になってきていると思うので、それを意識させるプロの存在がいたら全然違いますよね。

実際の指導板書|左:山﨑講師 右:濱講師
— 自学自習時に、どんな教材を使うのが良いか悩む生徒もいるかと思います。もちろん、生徒それぞれの学習状況や志望校によって、適切な教材や活用方法は全然変わってくると思いますが、先生方のお気に入りの教材やよく使っている教材があれば教えてください。
山﨑
もちろん誰かから指導を受けてもらうのが理想ですが、1人で勉強するなら講義形式の「照井式問題集」はオススメです。分量は多いですが、オーソドックスで誰でも理解できる形になっていて、しっかり読めば分かりやすいと思います。
中谷
「面白いほどよくわかる」シリーズも分かりやすいと聞きますよね。
山﨑
僕も結構それ好きです。かなり分かりやすいと思います。大学生の時に古本屋で買って衝撃を受けた記憶があります。
濱
自学自習に特化した参考書ではないかもしれませんが、僕は「標準問題精講」が好きです。難関大でよく出る問題や単元を押さえているし、生徒さんがテストで再現しやすい解答の書き方をしてくれているなぁと思います。ただ、前提条件としてある程度の基礎力が必要なので、まず「化学 重要問題集」を一通り終えてから指導に入りますね。
山﨑
ああ~。わかります。
濱
あと、最近は鎌田先生の「医学部の化学」を使い始めました。制限時間が載っているので、わりと自習に使いやすいと思います。ただB問題がめちゃめちゃ難しいので、最難関を目指すのでなければA問題だけで十分かもしれません。制限時間はかなり短めなので、倍ぐらいの時間を目安に解いてもらっています。
山﨑
僕は有機化学で、最近出た「坂田薫の化学講義」が好きです。結構シンプルにまとまっています。僕自身、坂田先生の講義が大好きで、大学のとき有機の高分子の授業を全部文章化したんです(笑)。それもあって分かりやすいと思っちゃうのかもしれないですけれど(笑)。
問題集では「化学の新演習」が一番好きですね。有機化学の立体について多く触れられているので、いろんな大学に対応できるなと。共通テストにも新演習に出ている問題が出たりしているので、汎用性も考えると万能だと思います。
河原田
高校1、2年生の間は基礎固めをして、3年生で「化学の新演習」に進めると、合格に向けて順調なペースだと感じます。
続く後編では、医学部受験の中でもハイレベルと言われる単科医科大学入試にフォーカスして、求められる学力や攻略のポイントなどを伺います。
プロの講師陣による洞察やアドバイスがたっぷり詰まった【後編】も、ぜひご注目ください。
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