もうすぐ入試本番!出願する大学の絞り込みに悩んでいる人も多いのではないでしょうか。早いところでは1月中旬から私立医学部入試が始まります。1月中旬から2月下旬にかけては、共通テスト、私立大学入試、国公立二次試験と慌ただしく過ぎていきますね。この入試直前期、合格するために大切なことは何でしょうか?健康管理はもちろんですが、自分にとって相性の良い大学を正しく選んだ上で、直前期に必要な学習を進めることもまた大切な要素のひとつです。きちんと調べるほど複雑な、私立医学部受験。今回は、そんな私立医学部の受験校をどのように選べば良いか、押さえておきたいポイントをまとめました。出願の最終確認と、直前期の学習の進め方について、皆さんの参考になれば幸いです。私立医学部の受験校選びは難しい その理由とは?私立大学を受験する場合、国公立大学の受験に比べて試験日程や方式が豊富なことが多いため、日程が合えば何校も受験することが可能です。国公立大学を第一志望とする受験生も、併願で私立大学を受験することがありますね。中でも、私立医学部受験の場合は少し特殊です。私立医学部は受験校選びが非常に難しく、受験校の選び方によっては大きな失敗につながる可能性があります。それはなぜでしょうか?理由① 入試日程が過密日本の私立医学部は全部で31校。そのうち10校ほどの大学は、1/18〜1/25頃に一次試験がおこなわれます。受験シーズン開始からたった1週間程度で、すでに1/3ほどの大学の一次試験が終了してしまうのです。よく考えて受験校を選ばないと、一次試験と二次試験の日程が重複してしまったり、受験会場までの長時間の移動等でベストコンディションでの受験ができなくなってしまったりする可能性があります。また、過密な日程の中、入試関連書類の用意や宿の手配などの事前準備にも追われてしまう場合があります。理由② 大学ごとに入試傾向がバラバラ私立医学部の偏差値はおよそ60〜72.5と言われており、同じ偏差値帯に複数の私立医学部が存在しています。ただし、標準問題を早く正確に解く必要があるのか、難しめの問題が出題されるのか、論述問題が頻出しているかなど、その入試傾向は大学ごとに大きく異なります。単に偏差値だけを基準に、「第一志望」「滑り止め」といったように受験校を選んでいくことは失敗のもとです。大学ごとの入試傾向と自分の特性を見極め、相性を吟味していく必要があります。私立医学部受験校の決め方 3ステップ私立医学部の受験では、先ほど述べたような特徴をふまえ、戦略的に受験校を決めていくことが大切です。具体的な手順をみていきましょう。1. 受験校の候補をリストアップするまずは、自分の進みたい進路や入学する上での条件などをベースに、大学について調べながら受験候補となる大学をリストアップします。受験校を考える上での変数はたくさんあります。そこで、代表的な5つのポイント「受験者の年齢」「地域」「学費」「難易度」「卒業後のキャリア」を自分の条件と照らし合わせて、自分は何を重視するかを軸に、候補となる大学を挙げていきましょう。 以下、各ポイントについて詳しくみていきます。◆ 受験者の年齢過去の合格者データを見る限り、大学によって「再受験生に寛容な傾向」「あまり寛容ではない傾向」がみられます。また、3浪以上の多浪生も選択肢が絞られてくる傾向にありますので、受験校を選ぶ際には注意したほうがいいでしょう。例えば、自治医科大は都道府県によっては再受験生に厳しいと言われており、東京慈恵会医科大や慶應義塾大は過去の統計を見る限り多浪生をほとんど取らない傾向が出ています。 一方で、国際医療福祉大や東北医科薬科大などは再受験生にも寛容な傾向にあります。◆ 地域私立医学部は関東圏に多く所在しています。学生の人数でみると、関東圏の実家から関東圏の大学に通うというパターンが多い様子です。次に多いのが関西です。関西在住の医学部受験生は、関西4大学と呼ばれる大阪医科薬科大・関西医科大・近畿大・兵庫医科大に加え、岡山にある川崎医科大を受験する人が多いようです。大学の所在する地域にこだわるか?こだわらないか?自宅から通うのか?一人暮らしをするのか?などによって、選択の幅が変わってきますね。◆ 学費私立医学部は、卒業までに安くて2000万ほど、高くて4000〜5000万円ほど学費がかかります。やはり学費が安い大学の方が人気があり、高い方が合格しやすい傾向にあります。受験校選びにおいて、学費が高くても卒業まで通えるかどうかがひとつの焦点になります。なお、条件をクリアすれば、奨学金制度を活用して学費負担を軽減できる私立大学もあります。◆ 難易度各大学の科目別配点比率や、過去の合格者最低点などを確かめ、自分の学力も考慮しながら受験校候補を考えましょう。例えば、「医学部私立御三家」といわれる慶應義塾大・東京慈恵会医科大・日本医科大は、私立医学部の中でも特にレベルが高いことで有名です。 また、この数十年で人気が上がった順天堂大を含め、「私立医大四天王」と呼ばれることもあります。私立医学部全体の受験倍率としては、医学部人気が高かった2014〜2018年と比較すると近年は少し落ち着いてきた印象ですが、それでも依然として高い倍率で推移しています。ただし前提として、国公立医学部+私立併願の場合と、私立医学部のみを受験する場合とでは、受験戦略は大きく異なることに注意してください。 そのうえで、大学によって求められる学力や、大学ごとのカラーも異なります。(詳細は、本記事「2-1. 候補校をグルーピングする」で詳しく解説します。)◆ 卒業後のキャリア例えば、「将来は開業医になりたい」「卒業後は研究をしたい」「医師免許を持った上で起業したい」など、ひとくちに医学部を卒業するといってもその先はいろいろな進路が考えられますね。大学によって得意とする分野も異なるため、卒業生の進路や、その大学にしかない強みについても調べてみるのが良いでしょう。2-1. 候補校をグルーピングする次に、リストアップした大学をグルーピングしていきます。過去問や赤本などを参考に、まずは大雑把でも良いので、自分でやってみましょう。偏差値60〜72.5と言われている私立医学部ですが、試験の内容や難易度は大学によってまったく違います。例えば、偏差値がほぼ同じ次の2校を比べてみても、聖マリアンナ医科大・・・記述が多く独特獨協医科大・・・共通テストのようなマーク式などの違いがあります。したがって、「偏差値が高い=難しい」と単純に考えてしまっては意味がありません。グルーピングするにあたっては、「基礎」⇄「応用」 「理科重視」⇄「英数重視」の2軸で考えてみましょう。▼ グルーピングの例候補としてリストアップした大学が、以下の4象限のどこに当てはまるか?を調べ、分類してみます。今回は、河合塾偏差値で60〜65の偏差値に該当する私立医学部の一部をグルーピングしてみました。過去問演習を通して大学を分類したら、次は自分の特性を見極めます。 「理科が得意/苦手」「英数が得意/苦手」「基礎問題を速く正確に解く方が得意/応用問題をじっくり解いて答えを導き出す方が得意」などです。志望校の出題傾向と自分の特性が近ければ相性が良いですし、近くなければ相性が悪いということになります。合格を最優先目標にする場合は、相性の良い大学に絞り込み、必要な学習に集中することで、合格率を少しでも高められます。また、国公立を第一志望とし私立は併願で受験する場合は、志望する国公立の入試傾向もあわせて考えましょう。受験する国公立大学と入試傾向が似ている私立大学を選ぶ方が対策は立てやすくなります。この分類と考察をしないまま、やみくもに数を受験しても労力ばかりかかってしまいますし、対策しようにも力をいれるべき部分がぼやけてしまい、受かるものも受からなくなってしまいます。2-2. 候補校について詳しく傾向を見ていくグルーピングをした上で、さらに大学個々の過去問研究を深め、特記事項を加えていきます。合格に必要な目標点に到達するには、「難しい問題を解けるようになれば良い」のか「計算ミスしやすい分野の強化をすれば良い」のか「特定の苦手分野を克服すれば良い」のかなど、学習状況によって様々です。現状の得点率と目標点との差分を意識した上で、直前期の学習を進めることが重要です。例えば、聖マリアンナ医科大・・・数学の出題形式にクセがある。大問4は証明問題で整数に関する難しめの出題が多い。▶︎自分は「整数問題」と「証明問題」でよく失点しているので、この2分野を重点的に固める。難問は解けなくても良いので、他の受験生と差がつかない程度に復習を進める。獨協医科大・・・数3からの出題が多め。標準問題が多く問題量が多いので、処理能力が必要。▶︎自分は「数3の計算」に時間がかかることが多いので、特に「微積分」はしっかりと計算できるように問題演習の時間を多めに取る。というように、大学ごと全教科について詳しくみていき、必要な学習の優先順位を考えることが大切です。このような深い分析には、専門的なノウハウも必要となり、情報を調べたり把握したりするにもかなりの時間がかかります。可能であれば予備校の先生など医学部受験に詳しい専門家に相談し、アドバイスをもらうと良いでしょう。▼ スタディカルテLabでは、実際にこのようなアドバイスをおこなっています。無料学習相談をご希望の方はLINE公式アカウントからお気軽にお声がけください。3. 受験日程を決める最後に、受験日程を決めていきます。私立医学部の入試日程は複雑なので、受験カレンダーを参照しながら、パズルのように組み合わせて出願校を決定していきましょう。サテライト入試もうまく活用しつつ、受験生によっては全国を移動することになるでしょう。 移動時間や試験会場、宿の確保にも注意が必要です。特に宿については、12月頃からどんどん埋まっていってしまうことがあるので、早めの準備が欠かせません。場合によって異なりますが、国公立と併願の場合は2〜4校ほど、専願なら4〜6ほどの私立医学部を受験する生徒が多いようです。(多い人は10校ほど受験する場合も。)自分の状況に合わせて、スケジュールを立てていきましょう。適切な準備で私立医学部受験を制す私立医学部の受験は、よく検討し受験校を絞り込んでいくことがとても重要です。繰り返しになりますが、受験には体力が必要ですし、傾向がばらばらな大学を多く受けても合格には直結しません。ぜひ、この記事を参考に、正しく・戦略的に医学部受験に備えてくださいね。受験生の方へ入試本番に向けて、1分1秒も無駄にはできません。志望校に特化した対策を強化したい医学部受験生に向けて、スタディカルテLabでは「医学部 秋冬徹底 集中個別指導パック」をご案内しています。苦手にピンポイントの対策から、過去問添削や記述対策まで、1教科から受講可能。合格から逆算した最短ルートの対策で、もう1段階合格に近づきたい方は、以下から詳細をご覧ください。これから医学部を目指す方へこの冬に重要単元を確実に習得しておくことが、のちの受験勉強にとって大きくプラスに影響します。ただでさえイベントの多い年末年始。限られた時間をいかに有効活用できるかが勝負です。特定の苦手分野を徹底的に強化したい、2学期の総復習をしてほしいといった中学1年生〜高校2年生の方は、ぜひこちらから詳細をご覧ください。▶︎ 中学1年生〜高校2年生|冬期集中4回パック無料学習相談も受付中スタディカルテLabでは、無料学習相談も受付中です。受験校・併願校選定に悩まれている方や、過去問研究を深めるためのアドバイスが欲しい方は、LINE公式アカウントからお気軽にお声がけください。