2022年春より高校での必修化がスタートした「情報」科目。2025年1月以降の大学入学共通テストでは、「情報Ⅰ」が科目として新設されることも発表されています。大学受験における「情報」の教科では、何が問われるのでしょうか?社会の動きや、大学受験の動向をふまえながら、詳しく解説します。「情報」で習得する "情報活用能力" と "問題解決力"2022年4月よりスタートした新学習指導要領に基づき、高校生は共通必履修科目として全員が「情報Ⅰ」を週に2時間学習するようになり、「情報Ⅱ」も選択科目として履修できるようになりました。「情報Ⅰ」必修化の背景としては、もはや生活や社会活動を営む上で情報技術(IT)が欠かせない存在となっていることがあります。中高生にとっても身近な情報技術の例として、例えば、2次元コード(QRコード)や無線LANなどが挙げられますね。情報技術の仕組みを理解したり、適切な扱い方を身に付けたりする能力が、現代社会を生きる上で欠かせなくなっているのです。例えば、IoTやロボット、AIの進化、ビックデータ活用など、内閣府が「Society5.0(※)」を掲げているように、社会のあり方は技術革新やグローバル化の急速な進展によって新しい形に変わりつつあります。今後はますます、これまで人間がおこなっていた作業をAIやロボットが担うようになり、人々は新しい技術を活用しながら経済や社会を維持・発展していくようになるでしょう。そのような社会においては、「情報活用能力」や「問題解決力」が必要不可欠であり、教育現場においてはこれらの力を「情報」という科目を通して育み・習得させていこうという考えのもと、「情報Ⅰ」を基礎科目(国数英)と同じように扱おうとする動きが見られます。※ Society5.0とは? 仮想空間と現実空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会のこと。(参考:内閣府)「情報Ⅰ」で学ぶ4つの内容「情報Ⅰ」では、大きく以下4つの内容を学びます。情報社会の問題解決コミュニケーションと情報デザインコンピュータとプログラミング情報通信ネットワークとデータの活用これらすべてに共通するキーワードは「問題解決」です。情報デザイン・プログラミング・情報通信ネットワークといった内容を、「問題解決」の手段として学ぶことで、新しい技術を効果的に活用して社会を発展させていく力を身につけます。「情報Ⅰ」の授業の中で取り組む学習活動として、例えば、あらゆる人が使いやすいWebサイトの設計を考えたり、無線LANフィルタの設定方法を考えたり、といった内容が考えられるでしょう。先ほど述べたように、「情報」科目で学ぶ内容は、もはや現代社会で生活していく上で欠かせないものとなっています。文系・理系を問わず、これら4つの内容をきちんと習得しておく必要がありますね。大学入試において「情報」科目はどう扱われる?2023年10月時点での情報をまとめています。今後傾向が変わる可能性もありますので、最新の情報については各大学のHPなどをご確認ください。大学入試において、「情報Ⅰ」はどのように扱われるのでしょうか?大学入学共通テストでは、2025年度入試より「情報」が科目として設けられることが予定されています。2025年度以降に国立大学を受験する場合には、原則、共通テストで「情報」を受験することが課されます。(参考:2024年度以降の国立大学の入学者選抜制度-国立大学協会の基本方針- 令和4年1月28日|国立大学協会)国公立大学の場合国立大学では、東京大学や京都大学などをはじめとする約8割の大学が、共通テストで「情報Ⅰ」の受験を必須にすると公表しています。中には、受験は必須としながらも、配点は0点(点数化なし)とする大学もあります。(北海道大学、香川大学、徳島大学など)。このように、大学によっては新しく始まった「情報Ⅰ」を慎重に扱う動きがあるようです。私立大学の場合私立大学では、各大学の判断にもとづいて、文系の「地歴・数学」、理系の「数学・理科」といった選択科目の中の1科目として示される場合があります。既卒生への経過措置を考慮し、必須科目として課す大学は少ないことが予想されます。共通テスト「情報Ⅰ」の出題内容とは2025年1月の大学入学共通テストで課される「情報Ⅰ」について、試験時間は60分、配点は100点と発表されています。科目試験時間配点日程情報Ⅰ60分100点第2日目 17:00-18:00共通テスト試作問題を確認大学入試センターが公表した、試作問題を見てみましょう。(参考:大学入試センター 2022年11月22日公表分)問内容配点解答方法1-1SNSやメール、Webサイトなどの利用時の注意点や情報の信憑性の判断45つの選択肢から正しいものを2つ選ぶ1-2通信データの誤り訂正の仕組み、基数変換の仕組みの理解64〜5つの選択肢から正しいものを1つ選ぶ2-A2次元コードの仕組み、規則性や特徴、知的財産権との関わりの考察15会話文から状況を理解し、正しいものを選ぶ3基本的なアルゴリズムとプログラミングの基本25・会話文から状況を理解し、正しいものを選ぶ・目的に応じて正しくプログラミングを実行する手順を選ぶ4データの活用に関する基本的な知識・技能、グラフの読み取り、考察25統計調査をもとに、データの相関関係や結果を考察し、正しいものを選ぶ全体を通して、以下のような特徴が見られます。「情報Ⅰ」で学ぶ4つの内容「情報社会の問題解決」「コミュニケーションと情報デザイン」「コンピュータとプログラミング」「情報通信ネットワークとデータの活用」からまんべんなく出題される。用語や知識のみを問う問題は少なく、知識の質を問う問題や、与えられた情報やデータから考察させる問題が多い。SNSや2次元コードといった身近な事象を題材として、情報の知識・技術の仕組みを考えるような、課題解決型の問題の出題が多い。用語の説明を問題文中に含むなどの配慮が見られる。その反面、問題文が長くなり、長い文章の中から早く正確に読み解く力が必要になる。プログラミングについては、どのプログラミング言語を学習していても不利にならないよう、共通テストオリジナルの疑似言語(DNCL・Pythonに類似したプログラミング言語)が利用される見込み。用語や知識そのものを問うような問題は少ない傾向です。一方で、他教科の共通テスト同様に、会話文から状況を整理して把握する問題や、身近な事象を題材とする課題解決型の問題が多く見られます。時間内にきちんと得点するためには、長い文章から速く正確に問題の本質を読み解く力が必要になるでしょう。大学受験に向けた今後の対策は?大学受験に向けては、文系理系を問わず、あらゆる情報を正しく活用する力や、基礎的なプログラミングの考え方などを体系的に学び、身につけておくことが大切です。共通テスト等においては、知識単体を問う問題は多くないかもしれませんが、知識の基盤があると、速く正確に問題を把握することにつながります。(数学の問題を速く正確に解くためには基本的な計算力が必要であることと同じですね。)まずは、高校の授業を通して教科書の内容をまんべんなく学習し、基本的な知識や技能を身に付けておくことが効果的でしょう。日々の学習では、知識の本質的な意味を理解しておくように心がけることがおすすめです。本質的理解のためには、例えば、教科書に出てきた用語をただ暗記するのではなく、自分の言葉で具体例を用いて説明できるようにするといった学習が望ましいと考えられます。情報の科目で学ぶ内容は、現代社会での日常生活に密接に関わっています。「授業で習って終わり」にするのではなく、習ったことが社会や生活の中でどのように使われているのか、情報技術の仕組みと結びつけて考えることが大切です。「情報Ⅰ」対策は、いつからどのように始めるべきか?「情報の対策はいつからどのように始めればよいのか」「情報と他の科目との優先順位がわからない」このように迷っている場合は、大学受験に精通しているプロに相談することもおすすめです。なぜなら、忙しい中で自分ひとりで入試傾向や大学情報をリサーチするには、かなりの時間がかかりますし、インターネット上の情報はその確かさにも注意が必要であるからです。スタディカルテLabでは、丁寧なヒアリングをもとに、ひとりひとりの学習状況に合わせて、学習計画の立て方や、優先順位のつけ方、勉強の進め方などをアドバイスしています。勉強や受験に関するお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度スタディカルテLabにご相談ください。毎週最大5名様まで、30分の無料学習相談を受付中です。