医学部受験を目指す皆さん、そしてお子さまを支える保護者の皆さまへ。「何を指標にして医学部予備校を選べばいいのか分からない……」 「集団授業と個別指導、どちらが合っているの?」そんなお悩みを抱えていませんか?本記事では、そういった悩みを解決するために、個別指導・集団授業、オンライン指導・対面授業におけるメリット・デメリットを徹底比較。また、医学部予備校・塾を選ぶ際に役立つ「入塾前に確認しておきたいチェックポイント」もご紹介します。医学部受験の情報収集や、後悔しない医学部予備校選びの参考にしてみてください。本記事では、医学部受験に精通するスタディカルテLab代表の樋口氏に詳しくお話を伺いました。樋口雅範 スタディカルテLab 代表神戸大学発達科学部卒業数学講師として関西で医学部予備校を中心に活躍し、医学部受験で20,000時間以上の指導経験と、多くの合格実績を残す。2017年には担当生徒の70%が医学部に合格。私立医学部の解答速報や国公立医学部・私立医学部の入試傾向の分析経験を豊富に持つ。“医学部” というグルーピングの注意点ーこんにちは。本日はよろしくお願いします。早速ですが、医学部受験において「ここだけは気を付けてもらいたい!」といった注意点があれば教えてください。樋口:よろしくお願いします。そうですね。色々と気を付けるべきポイントはありますが、1つに絞るなら、国公立51大学・私立31大学、全82大学を “医学部” という一括りで考えてはいけないということです。特にインターネット上では、医学部入試の情報は玉石混交になってしまっているのが実情です。「難問が解けないといけない」「標準レベルの完成度が大事」といった方針に違和感を感じたり、教材選定・活用方法などについても疑問が残るアドバイスをよく見かけたりします。医学部受験はハイレベルな受験生による厳しい勝負であるにも関わらず、志望校の出題傾向をきちんと把握しておらず、なんとなくで学習を進めてしまっているケースがとても多く感じます。皆さんにはまず、医学部受験における配点バランス・入試傾向は非常に多種多様ということを知っていただきたいです。例えば、「神戸大学医学部」と「京都府立医科大学」は、偏差値や配点バランスは似ていますが、次のように入試傾向は大きく異なります。例え話をすると、同じ陸上競技でも「短距離走」と「長距離走」では、選手の適性も、トレーニング方法も変わってくるのは想像しやすいと思いますし、それがオリンピックのようなハイレベルな戦いであるほど、差がつくことも理解してもらえると思います。実際に、受験生のポテンシャルは高いにも関わらず、志望校の入試傾向を把握しておらず、それが原因で不合格になってしまっているケースは非常に多いと感じています。当塾に問い合わせをいただいているのは「今までのやり方で結果が残せず、どうしていいか分からない」という方が多いですね。ーなるほど。そういう事例もたくさんあるんですね。たしかに、東大や京大などの対策をしている大手予備校は多いですが、先ほどの具体例で挙げられた、京都府立医科大に特化した対策をしている塾や予備校はあまり聞きません。樋口:はい。特に医学部受験では、志望校の入試傾向から逆算して、学習計画や指導を受けられるか?が重要だと考えています。目標得点率や本人の学力特性によっても、学習計画・学習の優先順位などは大きく変わってきます。どの科目をどれくらいのバランスで取り組まないといけないのか。難問は解けないといけないのか。取捨選択をして、解ける問題を素早く解き切ることが重要なのか。過去問や入試データを上手に活用して、「取り組むべき学習」の解像度を高められることが理想です。集団授業 / 個別指導に向いている生徒の比較ー医学部受験では、志望校の入試傾向から逆算して学習に取り組むことが大事だということは分かりました。そうすると、集団授業よりも個別指導の方が良いのでしょうか?樋口:いえ。一概には言えないと私は考えています。塾や予備校によって細かい違いがたくさんありますし、生徒の学力状況によっても変わってくると思います。それぞれのサービスの特性を把握し、科目や時期によって使い分けることを検討しても良いでしょう。まずはざっくりと、下記のようにサービスを把握してもらえればと思います。◆ 集団授業:「メインの学習内容」におすすめさまざまな大学に対応できるように、テキストの問題選定や授業計画を考えられていることが多い。特に、どの大学でも必要とされる入試基礎力や思考力を身につけるには費用対効果が高い。学習状況によっては、消化不良が発生する可能性があるので注意が必要。◆ 個別指導:「メインから外れている学習内容」におすすめ苦手科目の克服や、集団授業で消化不良が多い生徒に特におすすめ。得意科目でも志望校に特化した対策には効果的。(例えば、同じ私立医学部の英語でも「順天堂大学医学部は、英語長文が非常に長い」「大阪医科薬科大学は、英文和訳・和文英訳の対策で差がつく」など、大学によって特徴が大きく異なるため。)ーなるほど、使い分けが大事なのですね。費用面では、個別指導は相対的に高くなりやすいですよね。樋口:そうですね。特に医学部予備校の場合は、在籍しているのがプロ講師であることが多く、指導力のあるプロ講師であるほど、対価として支払う指導料も高くなる傾向にあります。とはいえ、指導料の安い医学部予備校では、プロ講師であっても指導クオリティのバラツキが大きくなりやすいのが気になるところです。しかし、現実的には出せる学費に上限があるご家庭もあると思います。そのような場合は、苦手科目だけを個別指導で手厚くフォローしてもらう、といった選択肢も検討しても良いでしょう。また、最近は、映像授業やAI教材を活用した問題演習、オンラインに特化した塾、学習管理型の塾など、教育サービスの多様化が進んでいます。繰り返しになりますが、それぞれのサービスの特性を把握し、上手に活用することを心がけてください。大手予備校(プロ講師 × 集団授業)におけるメリット / デメリットの比較ー医学部予備校と比較すると、大手予備校にはどのような特徴があるのでしょうか?樋口:はい。大手予備校での主な授業形式である、プロ講師による集団授業のメリット・デメリットをご紹介します。◆ メリット医学部予備校と比較して、学費を抑えられる(年間100万円程度)特に、大手予備校は講師の選抜が厳しいため、指導力のあるプロ講師が多く在籍している。在籍生徒が多いので、入試に関する一次情報の信頼性が高い。◆ デメリット学習計画や勉強方法といった個別カスタマイズが不十分になりやすい。集団授業なので、カリキュラムや講師変更の自由度が低いことが多い。ーなるほど。講師の指導レベルは高い一方で、自由度が低いのですね。樋口:そうですね。なお、これらの指導形式のメリット・デメリットは一般的なものです。デメリットを補完するために、大手予備校ごとに配慮がされています。どのようなフォロー体制があるかを確認して、上手く活用してみてください。医学部予備校(プロ講師 × 個別指導)におけるメリット / デメリットの比較ー今度は、大手予備校と比較して、医学部予備校の特徴を教えてください。樋口:はい。医学部予備校での主な授業形式である、プロ講師による個別指導のメリット・デメリットをご紹介します。◆ メリット学習計画や勉強方法といった個別カスタマイズをしてもらいやすい。講師変更がしやすく、相性の良い講師の個別指導を受けやすい。大学別に特化した対策や、医学部の入試情報が豊富。◆ デメリット大手予備校と比較すると学費が高くなる(年間300万円〜1000万円程度。)講師の当たり外れが大きくなりやすい。個別指導だと相性も重要。ー高品質なプロ講師の個別指導であれば相当の学費がかかるのは仕方ないかと思いますが、講師の当たり外れが大きくなりやすい点には注意が必要そうですね。樋口:はい。そのため、プロ講師の個別指導を受ける場合は、“講師との相性” にもこだわったほうがいいです。教育サービスは「講師の指導クオリティ」が非常に重要です。ただし、人気のプロ講師や合格実績が豊富なプロ講師だから大丈夫、という訳ではありません。なぜなら、優秀なプロ講師だとしても、指導スタイルや指導方針は講師によって異なるからです。また、講師ごとに得意とする分野もさまざまです。例えば、関西の国公立医学部で実績の多い講師や、私立医学部受験に強い講師、得意な生徒をさらに伸ばすことに優れている講師、苦手な生徒を伸ばすことが上手な講師など、それぞれ特徴があります。プロ講師の個別指導を受けるのであれば、「相性の良い講師かどうか?」という点をよく確認し、こだわるのがいいでしょう。対面指導 / オンライン指導におけるメリット・デメリットの比較ーオンライン指導と対面指導それぞれの特徴について教えてください。樋口:はい。オンライン指導は、コロナウイルスの流行がきっかけで、2020年頃から利用者も塾も一気に増えた印象です。急激な外部環境の変化もあり、 “オンラインの特性” を十分に活かしていないまま、対面授業と同様のやり方でオンライン指導をおこなう塾や予備校が多い印象でした。個別指導に絞って、対面指導とオンライン指導のメリット・デメリットを比較すると、次のようなイメージです。対面での個別指導◆ メリット授業におけるライブ感が強く、より緊張感を持って受講できる。何気ない会話から、授業外での相談がしやすい。◆ デメリット通学のために移動時間が発生するので、住んでいる場所によっては時間のロスになる。当日に疑問点や宿題を確認することになり、場当たり的な指導になることも多い。オンラインでの個別指導◆ メリット疑問点や宿題を事前に提出することで、指導や宿題を最適化してもらいやすい。通学が必要ないので、無駄な時間を削減でき、夜間の送迎が不要になる。◆ デメリット学習環境が自宅の場合、学習のメリハリをつけにくいことが多い。強制力が低いので、学習意欲の低い生徒には不向き。ーオンラインだと一方通行の授業になってしまう印象がありますが、そのあたりは実際どうですか?樋口:それは、講師の指導技術の問題です。対面の集団授業では指導力のある講師でも、オンラインや個別指導になるとその良さが失われてしまう講師もたくさんいらっしゃいます。しかし、クオリティの高いオンライン個別指導を受ければ、その印象は大きく変わると思います。一方で、学習環境や強制力の低さなど、オンラインならではのデメリットもあります。そのデメリットを緩和する工夫として、ライバルと切磋琢磨する学習SNSを活用したり、自宅の近くに勉強しやすい場所を確保したりすると良いかもしれませんね。これは、対面の個別指導も同じことが言えます。事前に疑問点や宿題を講師に共有し、あらかじめ必要な準備してもらえると理想ですね。ーなるほど。対面・オンラインそれぞれにデメリットはあるけれど、それを工夫してどのように改善するかが大事なんですね。樋口:その通りです。余談ですが、オンライン医学部予備校の運営をしていて感じるのは、人気のプロ講師による対面での個別指導はすぐに指導枠が埋まってしまい、受講しにくいことが多いという点です。その点、オンラインなら講師の移動時間がないので、人気講師の指導を受けやすいという意外なメリットもありますね。医学部受験で悔いなく塾・予備校を選ぶための入塾前チェックポイント樋口:以上の内容をふまえて、医学部受験生が入塾前にチェックしてもらいたいことをまとめると次のようになります。講師◻︎ 担当講師に、志望校の合格実績はあるか?入試傾向に詳しいか?◻︎ 担当講師に、同じような学力レベルの生徒を志望校に合格させた経験があるか?◻︎ 体験授業で、担当講師との相性を確認したか?◻︎ 入塾後、体験授業を担当した講師に一貫して指導してもらえるか?教務◻︎ 志望校の合格実績・合格率はどれくらいか?◻︎ 担当教務は医学部受験に詳しく、提案内容に納得できるか?◻︎ 提案された目標は具体的か?中間目標が適切に設定されているか?◻︎ どのようなサポートを具体的にしてくれるか?入塾後は講師任せにならないか?◻︎ 本当に必要な受講を提案してくれているか?消化不良を起こさないか?費用◻︎ 不明瞭な費用はかかっていないか?(諸経費、教材費、印刷費など)◻︎ 講師指名に別途費用がかからないか?◻︎ 個別指導・季節講習では別途費用がかかるか?◻︎ 受験までにどれくらいの費用がかかりそうか?上記のチェックリストを活用し、塾や予備校を悔いなく選んでもらえればと思います。私は、長年の経験から、塾や予備校、講師といった信頼できるパートナーとの出会いが、医学部受験で結果を残すための大きな要素だと考えています。そして、私たちスタディカルテLabもその選択肢のひとつとして、期待に応えられればと思います。学習全般のお困りごと、受験計画・勉強方法のサポートなど、気軽にお問い合わせください。スタディカルテLabでは、プロの学習プランナーによる無料学習相談を受付中です。受験校や併願校の選定に悩まれている方や、過去問研究を深めるためのアドバイスが欲しい方は、スタディカルテLabのLINEからお気軽にお声がけください。