日本の大学受験の最難関と言われている東京大学。毎年東大合格を輩出しているトップクラスの進学校や、一部の特化した塾でなければ、東京大学のリアルな受験情報にはなかなか触れる機会がないのが実情です。東大受験を経験した先輩や、受験しようとしている同級生が周りにいないことから、「東大を受験したいが受験勉強の具体的なイメージが掴めない」と悩む受験生は少なくありません。先輩たちは、東大に合格するまでにどんな勉強をしていたのでしょうか?そこで今回は、東大入試の社会科目「世界史」「日本史」「地理」にフォーカスし、現役東大生・東大受験生にお聞きした受験当時のエピソードをご紹介します。彼らのリアルな勉強方法を通して、東大受験のイメージを掴んでいただけたら幸いです。東京大学を文系受験する場合の基本戦略具体的なエピソードをご紹介する前に、まずは東大受験の全体像を確認しましょう。入試配点の概観東京大学 文科2類の入試配点は、以下の図表のとおりです。(共通テストおよび個別学力試験の配点は、文科1類・文科2類・文科3類ともに同じ配点です。)他大学と比べて、個別学力試験の配点比率が高く(全体の80%)、教科数が多い(4教科5科目)ことが東大入試の特徴です。東大を受験するにあたっては、個別学力試験の攻略が合否の鍵を握ります。東大文系学部を受験する場合、年度によって20点〜30点の変動はあるものの、個別学力試験の得点率60%(264/440)程度で合格ラインに到達する年度が多いようです。得意科目で得点を稼ぎ、苦手科目で失敗しないように対策を進め、合計で目標得点を超えるという方針が東大入試の基本となります。地歴科目の概観高得点を狙いにくい国語や、年度によって点数が上下しやすい数学と比べると、東大受験における社会科目は得点が安定しやすく、各35〜40点(60点満点中)がざっくりとした合格ラインと言われています。(他教科の目標点数・年度の難易度・受験戦略によって変化します。)このことを考慮すると、東大文系受験における全体の学習計画は(当然、受験生の個々の学力特性によって変わりますが、)差がつきやすい東大の英語・数学を早期に仕上げた上で、なるべく早めに地歴の学習に着手し、東大過去問に取り組める状態にする、という方針で勉強に取り組む受験生が多いようです。また、東大の社会は150分の時間枠の中で「世界史」「日本史」「地理」のうち2科目を選択して解きますが、いずれの科目も独特の出題傾向があり、論述が多く、制限時間も厳しいことが特徴です。各大問に対して、目標得点・時間配分・解く順番など、事前に作戦を立てて過去問演習を重ねておくことが大切です。続いては、実際に東大を受験した学生がどのように「世界史」「日本史」「地理」を勉強していたかについて、インタビューをもとにご紹介します。世界史東大世界史の出題傾向概要東大世界史は基本的に3題の大問で構成され、例年、第1問 大論述、第2問 小論述、第3問 短答問題 となっています。問題の文章量が多いため、時間配分に注意しながら解く必要があります。特に、第1問の大論述(約600字)は対策の有無で差がつくといわれます。1つのテーマを題材として、ある切り口から時代・地域を横断して演繹的に考える、東大独自の出題形式です。Iくんの東大世界史勉強法(2020年度世界史 36/60点)ー 入試基礎を固めるために、どのような勉強をしていましたか?まずは「これならわかる!ナビゲーター世界史B」(山川出版社)を使って、知識をインプットしました。学校で配られる検定教科書だと解説が簡潔すぎて、全体の流れがわかりにくいこともあったので、この参考書を使っていました。全部で4巻に分かれていますが、通史で全体像を把握するために10周くらい読みました。最初の1〜2周目は全体の流れを掴むためにどんどん読み進め、3周目以降で細かい部分を確認していきました。高3の6月までに1周目を終わらせて、そこからは検定教科書も使っていたのですが、教科書の説明でわかりにくい部分をこの参考書で確認するというように活用していました。ー 東大入試を受験する上で、どのようなことに気を付けていましたか?私は一問一答はあまりやりませんでした。というのも東大入試の世界史では、用語の暗記よりも、前後関係や因果関係を理解できているかどうかが問われているからです。そういった意味で、一問一答はどちらかというと早慶のような難関私大向けで、論述の多い東大の対策には不向きであるように感じていました。もし一問一答を使うのであれば、赤シートを使って用語を答えるのではなくて、用語を見てその説明を言えるように練習をするのは効果的だと思います。私は一問一答の代わりに、「世界史問題集」(山川出版社)のような、穴埋め型の教材で流れを確認しながら用語を定着させ、少しでも早く過去問に手が出せる状態に持っていきました。また、第1問の大論述の対策としては、まず過去問を解いてみて、学校の先生に添削してもらったり、複数の過去問の解答を比較しながらノートにまとめていく作業をしていました。論述は、文章を書きはじめる前に、まずは流れを整理することがコツだと思います。Oくんの東大世界史勉強法(2020年度世界史 41/60点)ー 入試基礎を固めるために、どのような勉強をしていましたか?入試基礎を固めるために、全体像が把握できる「青木裕司 世界史B講義の実況中継」(語学春秋社)に取り組みました。この教材を1〜2周して全体像を掴み、同時に一問一答で基本的な用語を暗記していきました。実況中継と一問一答で基礎を固めた後は、学校で配布された検定教科書を10〜15周くらい読み込んで、抜けていた知識の確認などをおこないました。最終的には教科書にいろいろポイントなどを書き込んで情報を整理しながら読んでいました。ー 東大入試を受験する上で、どのようなことに気を付けていましたか?自分の場合は、第1問の大論述は対策方法がいまいち掴めず難しいと感じていたので、大論述での高得点は狙わずに、代わりに第2問と第3問で点数をカバーできるように網羅性を高めていました。教科書レベルの知識が固まった状態で、20〜30年分の過去問を2〜3周解いて、覚えていない部分を教科書で確認するサイクルを繰り返していました。Sくんの東大世界史勉強法(2020年度世界史 約39/60点)ー 入試基礎を固めるために、どのような勉強をしていましたか?私はちょうど、高3直前の春にコロナウイルスの影響で学校が休みになったので、その期間を使って世界史の通史を一気に先取りしました。その後、高3の夏までに細かい単語などの知識を復習していきました。ー 東大入試を受験する上で、どのようなことに気を付けていましたか?私は鉄緑会に通っていたので、鉄緑の授業内で通史の復習をしつつ、配布されるプリントを使って論述で狙われるポイントを勉強していました。時代と王朝などの繋がりが複雑で重要な部分は、自作のノートに図や表を作ってポイントを整理していました。その後、高3の夏以降で、過去問を使って本格的に論述対策を始めました。大論述は対策が難しく、秋頃まではなかなかポイントを掴むことができませんでした。解答を書き始める前に、問題の余白部分に必要なキーワードや因果関係などを書いて、自分の考えをまとめる練習をしていました。論述を書き始める前に頭を整理することが非常に大切だと思います。日本史東大日本史の出題傾向概要東大日本史は基本的に大問4問で構成され、時代ごとに第1問 古代、第2問 中世、第3問 近世、第4問 近現代 の範囲から出題されています。時代ごとに出題範囲に傾向があります。(例えば、第1問では律令制度の成立過程や、その仕組み、制度崩壊までの様子がよく出る一方で、原始からの出題はほとんどありません。)過去問を分析し、よく出る範囲は優先的にマスターしておきましょう。Oくんの東大日本史勉強法(2020年度日本史 44/60点)ー 入試基礎を固めるために、どのような勉強をしていましたか?もともと歴史は嫌いではなかったので、歴史のマンガを読んでおおまかな流れは掴んでいました。高2の冬から本格的に日本史の勉強を始めました。野島博之先生の「東大教室」に通っていたので、そこで必要な知識は教えてもらっていました。入試基礎を固めるために、野島先生が書かれた「中学から使える 詳説日本史ガイドブック」(山川出版社)を使っていました。東大日本史の論述問題で出てくるポイントが網羅されていて、そのまま論述問題で利用できる表現がたくさん載っているので、この教材を上下巻セットで覚えるくらいまで読み込んでいました。ー 東大入試を受験する上で、どのようなことに気を付けていましたか?東大の日本史では、①基本的な知識 ②問題文を読む読解力 そして ③自分の考えを伝える表現力 が必要だと思います。3点目の表現力の部分は、セルフチェックすることが難しいと感じていたので、学校や臨海セミナーの添削サービスを利用して、自分の論述の答案を添削してもらっていました。日本史の過去問は20年分くらい解いていました。論述問題は赤本や塚原先生のサイトの解答を参照して、複数の視点を比較検討しながら勉強していました。地理東大地理の出題傾向概要東大地理は基本的に大問3問で構成されています。大問はさらに[A][B]などの設問に分かれており、各設問に記述問題・選択問題・論述問題が含まれているケースが多く見られます。「自然環境に関する問題」「世界をテーマにした問題」「日本をテーマにした問題」などがよく出題されます。特に差がつくのは論述問題でしょう。知識だけで解答できるものもありますが、資料から必要なことを読み取って、積み重ねた知識に基づいて論述する問題が多いのが東大地理の特徴です。Iくんの東大地理勉強法(2020年度地理 42/60点)ー 入試基礎を固めるために、どのような勉強をしていましたか?高3の夏までは学校の授業中心で、2次試験で地理を使わない人と同じような勉強をしていました。教材は「Winning COM.-PASS 地理の整理と演習」(東京法令出版)を使って、教科書内容の整理と、センター試験レベルの問題演習に取り組んでいました。ー 東大入試を受験する上で、どのようなことに気を付けていましたか?高3の9月から過去問を10年分くらい解いていました。東進の東大特進で、村瀬先生の東大地理特講を受講していたのですが、地理で合格点を取るための頭の使い方を学ぶのに有意義でした。過去問や学校の授業で解いた論述のテーマを、ノートにストックしながら勉強していました。▼ I君の実際の過去問用ノートSくんの東大地理勉強法(2020年度地理 約39/60点)ー 入試基礎を固めるために、どのような勉強をしていましたか?地理に関してはI君と同じように、学校の授業中心で学習していました。共通テスト対策や過去問演習をしていく中で、データベース・地図帳・資料集を参照しながら勉強していました。アウトプットしながら知識を確認していくイメージですね。特に東大地理では、写真や図を活用することが求められるので、過去問で出題された部分を起点として、常に複数の教材を確認しながら勉強していくことが効果的だったと思います。ー 東大入試を受験する上で、どのようなことに気を付けていましたか?東大地理は過去問が特に重要で、過去問演習を通して “頭の使い方” を身につけておくことが必要だと思います。データの見方や地形図の見方などは、過去問演習をしないと実感として捉えにくい部分があり、実際に問題を見て形式に慣れることが合格点を取る上で大事だと思いました。私は過去問は20年分くらいやっていました。I君と同じく、村瀬先生の東大特進の授業も受けていました。他科目と比べると地理の勉強時間はなかなか取れていなかったこともあり、スキマ時間などに問題を見て自分ならどのように解答するかを頭の中で考えながら、赤本を読み物として使っていました。あなたに本当に必要な「受験戦略」を考えよう実際に東大を受験した方々のエピソードはいかがでしたか?東大入試で実際に合格点をクリアした受験生たちは、自分に必要なものを分析し、とても戦略的に学習していたことがわかります。本記事が東大を志望する受験生の参考になれば幸いです。ハイレベルな大学受験は、ただ闇雲に努力しているだけでは結果を残しにくいものです。スタディカルテLabは、“オンライン個別指導の最高峰” を追求する個別指導塾として、高品質&高効率な教育サービスを提供しています。経験・実績の豊富なプロ講師による個別指導だけでなく、医学部・東大・難関大の受験戦略に精通したプロの学習プランナーによる教材選定・勉強方法・学習計画などの包括的なサポートが特徴です。スタディカルテLabでは、中高生・既卒生・保護者の方を対象とする無料学習相談(30分)を受付中。学習プランナーが受験生のお困りごとを一緒に考え、志望校に関する情報や、個々の学習状況に合わせた受験戦略など、必要に応じてご説明いたします。ぜひご活用ください。▼ 無料学習相談について、詳細はこちらから東大・医学部・難関大の受験において、スタディカルテLabは「信頼できるプロ講師」との出会いと「一貫した指導」が大きく合否に影響すると考えています。そのため当塾では、オンライン個別指導の無料体験(60分)を随時ご提供しています。講師のクオリティは、実際に授業を受けてみないと実感できないものです。「講師と自分の相性はどうか?」「オンラインでどのようなサービスが受けられるのか?」「他塾と何が違うのか?」などを、実際の授業を通してご確認ください。苦手科目に絞ったご受講や、志望校の過去問演習の添削指導など、個別の課題やテーマに特化してピンポイントにご利用いただくことも可能です。柔軟に対応いたしますので、遠慮なくご相談ください。▼ 体験授業のお申し込みはこちらから。お待ちしております!