私立医学部の入試は倍率が高いため、前期試験だけでなく後期試験の受験も検討している受験生が多いのではないでしょうか。2025年度には、全国に31校ある私立医学部のうち12校で後期試験がおこなわれます。私立医学部における後期試験の倍率は非常に厳しく、中には100倍近くになる大学もあります。そのため、戦略的な志望校選びや、志望校に特化した対策が重要です。この記事では、後期試験を実施している私立医学部の情報や特徴を紹介します。出願校選びに悩んでいる方の参考になれば幸いです。【2025年度】私立医学部の後期試験情報以下の表は、2025年度の私立医学部後期試験における、定員、出願期間、一次試験の日程をまとめたものです。大学名2025年度入試定員出願期間一次試験日程近畿大学一般入試・後期5名2025年2月1日〜2月13日2025年2月22日獨協医科大学一般選抜(後期)15名2025年1月16日~2月14日2025年2月27日日本医科大学一般選抜(後期)27名2025年2月1日〜2月19日2025年2月28日関西医科大学一般選抜試験(後期)5名2025年2月1日〜2月15日2025年3月1日埼玉医科大学一般選抜(後期)20名2025年2月3日〜2月18日2025年3月1日昭和大学一般選抜入試(Ⅱ期)18名2025年2月3日〜2月20日2025年3月1日藤田医科大学一般入試【後期】一般枠:5名地域枠:5名以内2025年1月21日〜2月25日2025年3月3日金沢医科大学一般選抜(後期)10名2025年1月14日〜2月27日2025年3月4日日本大学 N全学統一方式第2期15名2025年2月16日〜2月25日2025年3月4日聖マリアンナ医科大学一般選抜(後期)約10名2025年2月17日〜2月27日2025年3月6日久留米大学後期一般選抜約5名2025年2月6日〜2月25日2025年3月8日大阪医科薬科大学一般選抜(後期)15名2024年12月11日〜2025年2月28日2025年3月10日入試日程の重複に注意が必要な大学2025年度入試では、以下の日程に注意が必要です。3月1日:埼玉医科大学、昭和大学、関西医科大学の後期一次試験3月4日:金沢医科大学、日本大学の後期一次試験試験日程が重複しているため、どの大学を受験するかを慎重に判断することが求められます。募集定員や問題との相性などを総合的に考慮し、最適な出願先を選びましょう。試験会場に注意が必要な大学基本的に、関東圏以外に本部を置く大学は、関東や関西に地方試験会場を設けており、多くの受験生が受験しやすい環境を整えていることが多いです。しかし、一部の大学では地方に所在するにもかかわらず本学のみで試験を実施することがあります。2025年度入試において、後期試験の会場に注意が必要な大学を2校紹介します。関西医科大学関西医科大学の前期一次試験では、東京・大阪・名古屋・福岡会場が設けられていますが、後期一次試験は、本学の枚方キャンパス(大阪府枚方市)のみでの実施となります。関東に住む受験生にとって、3月1日は上述した埼玉医科大学や昭和大学などの試験とも重なるため、どの大学を受験するか慎重に判断する必要があります。 さらに、関西医科大学の一般後期募集定員はわずか5名(2025年度)と非常に狭き門です。試験日程や自身の受験戦略を総合的に見極め、出願先を検討しましょう。久留米大学久留米大学も、前期一次試験では東京・福岡会場が用意されている一方で、後期一次試験は、本学の御井キャンパス(福岡県久留米市)のみでの実施となります。久留米大学の後期試験の募集定員は約5名(2025年度)と非常に少なく、志願者数自体は他の大学と比べると少ない傾向です。しかし、志願者合格倍率は100倍を超えることもあるため、厳しい戦いが予想されます。入試科目に注意が必要な大学金沢医科大学(後期)前期試験とは異なり、後期試験に必要な科目は、英語・数学・小論文・面接(グループ面接)のみであることが特徴です。理科は必要ありません。また、数学の試験範囲は数学1A2BCのみで、数3は試験範囲外となります。近畿大学(後期)前期試験同様、数学の試験範囲は数学1A2BCのみで、数3は試験範囲外となります。昭和大学(Ⅱ期)前期試験同様、数学の代わりに国語を使って受験をすることが可能です。出題形式や難易度については、一般選抜Ⅰ期、Ⅱ期ともに大きな差はありません。詳しい対策はこちらの記事に記載しているので、ご覧ください。▶︎ 【私立医学部】昭和大学(昭和医科大学)医学部の入試傾向と対策を徹底解説大学別出題傾向と対策|埼玉医科大学・金沢医科大学・久留米大学ここから先は、後期試験を実施する大学のうち「埼玉医科大学」「金沢医科大学」「久留米大学」の3校をピックアップして、後期試験の傾向と対策について紹介します。今後の対策や出願校選びの参考にしてみてください。埼玉医科大学 医学部医学科 一般選抜後期の入試の傾向と対策埼玉医科大学の一般選抜後期は、定員が20名(2025年度)となっており、他大学の後期試験と比較して定員が多いため、非常に多くの受験生が集まります。基本的には、前期試験と同様の出題傾向になるので、前期試験で埼玉医科大学の対策をしていた場合は、受験候補に入れてみても良いでしょう。合格最低点:278/400(2024年度 / 大学HP)69.5%面接:配点なし小論文:和文・英文それぞれ作成/段階評価学費:37,000,000円(2025年度 / 6年間の総額)2024年2023年2022年募集人員202020志願者数1,5451,3211,566受験者数1,3301,1181,292総合格者数23(2)2532(7)*( )は繰り上げ合格者◆ 数学試験時間は50分で全問マーク式です。前期とほぼ同一の形式となっており、ここ近年は大問4題構成で、最初の大問が2問程度の小問集合となっています。数3の微積分や、確率関連の問題が多い傾向になります。時間内に合格ラインをクリアするには情報処理力・計算力が重要です。◆ 英語試験時間は70分で全問マーク式です。前期試験と傾向は同様で、2021〜2023年度は大問5題構成でしたが、2024年度は最後の大問がなくなり、大問4題構成でした。文法・語法・語彙力が必要な大問が一つと、長文読解問題が3〜4題出題されています。大問1を正確に素早く解く文法・語彙力と、長文を速く正確に読む速読力が必要です。◆ 物理試験時間は理科2科目で90分、全問マーク式です。基本的には前期試験と同様の形式で、例年大問が3題出題されており、力学と電磁気が必出です。残りの1題は熱力学または波動からの出題となっている年度が多いです。◆ 化学試験時間は理科2科目で90分、全問マーク式です。基本的には前期試験と同様の形式で、例年大問が3題出題されており、理論、無機、有機からまんべんなく出題されています。計算問題は手際良く解き、難しめの問題に時間をかけすぎないように心がけましょう。◆ 生物試験時間は理科2科目で90分、全問マーク式です。前期試験同様、近年は大問数や小問数が不規則です。知識で解ける問題、実験考察問題、計算問題などさまざまな形式の問題が出題される傾向にあります。埼玉医科大学医学部の後期試験は、基本的には前期試験と同様の出題傾向となっています。詳しい科目別の対策などはこちらのページにも記載しているので、参考にしてみてください。▶︎【私立医学部】埼玉医科大学医学部の入試傾向と対策を徹底解説金沢医科大学 医学部医学科 一般選抜後期の入試の傾向と対策金沢医科大学の一般選抜後期は、定員が10名(2025年度)となっています。試験科目が特徴的で、理科が不要、かつ数3が不要であることから、戦略的に対策をおこなってくる受験生も多くいる大学です。ただし、面接点が110点、小論文が60点と、非常に多くの配点を占めることから、グループ討論などの対策をどれだけできたかで勝負が決まってしまうことも予想されます。合格最低点:123/200(2024年度 / 大学HP)61.5%面接:グループ面接/110点小論文:60点学費:40,443,000円(2025年度 / 6年間の総額)2024年2023年2022年募集人員101010志願者数1,2821,2951,326受験者数1,1301,1611,180総合格者数13(3)14(4)15(5)*( )は繰り上げ合格者◆ 数学試験時間は60分で、例年大問4題構成です。全問マーク式で、センター試験や共通テストのように、与えられた誘導に従って解答していく形式です。基本的には前期試験と同様の形式ですが、後期試験では、数3は出題範囲外となります。また、前期よりも微積分の出題比率が少なくなり、図形的な考察が必要な融合出題が目立ちます。特に大問1では、場合の数・確率が毎年のように出題されています。数列、ベクトルからの出題も多いので注意しましょう。▼ 過去の出題範囲第1問第2問第3問第4問2024年度(後期)確率・図形と方程式→ 円に関する領域や直線に接するテーマが、確率との融合問題として出題。図形と計量→ 与えられた四角形の辺の情報から、残りの辺や正弦を求めたり、三角形の面積を求めたりする問題。対数関数・数列→ 偶数番目と奇数番目で規則性が異なる数列を題材にした、桁数や最高位の数字を求める融合問題。空間ベクトル→ 正四面体において、重心や共面条件などの条件から位置ベクトル、三角形の面積を求める問題。2023年度(後期)確率→ 番号が書かれたカードを箱から取り出したとき、残されたカード番号の最大値・最小値を求める問題。三角関数・微分法→ 三角関数の3倍角の公式などによる変形、最大最小問題、解の個数をグラフを描いて調べる問題。数列→ 誘導が与えられた置換、階差数列などの漸化式に関する出題。空間ベクトル→ 三角柱において、重心や三角形の面積、ベクトルの大きさ、四面体の体積などを求める問題。2022年度(後期)確率図形と方程式数列空間ベクトル2021年度(後期)確率微分法対数関数・数列空間ベクトル2020年度(後期)場合の数二次関数微分法・積分法数列2019年度(後期)確率方程式・複素数空間ベクトルデータの分析◆ 英語試験時間は60分で、基本的には前期試験と同様の形式です。以前は大問4題構成が続いていましたが、2022年度以降は大問3題構成になりました。問題量に対する試験時間は非常に短く、速読力が重要になる形式です。金沢医科大学医学部の後期試験では、数学は前期試験と出題範囲が異なりますが、英語は前期試験とほとんど同じ出題傾向になっています。詳しい対策などはこちらのページにも記載しているので、参考にしてみてください。▶︎【私立医学部】金沢医科大学医学部の入試傾向と対策を徹底解説久留米大学 医学部医学科 一般選抜後期の入試の傾向と対策久留米大学の一般選抜後期は、定員は5名(2025年度)と狭き門です。しかし、試験は福岡県久留米市のみで実施されるため、西日本、特に九州に住んでいる受験生にとっては狙いやすい大学といえるでしょう。合格最低点:277/400(2024年度 / 大学HP)69.3%面接:50点小論文:60分 800字程度/50点学費:36,378,000円(2025年度 / 6年間の総額)2024年2023年2022年募集人員約5名約5名約5名志願者数572609650受験者数498519558総合格者数555◆ 数学試験時間は90分で、全問マーク式です。出題形式や傾向は前期試験と同様で、2022年度までは大問6題構成でしたが、2023〜2024年度は大問5題構成となり、従来と比較すると難易度が上がっている傾向にあります。◆ 英語試験時間は90分で、全問マーク式です。前期試験では、大問6のみ記述式の要約問題が出題されていますが、後期試験では、大問6はマーク式の英文完成問題(センター試験英語の2Cと類似の形式)となっています。不要分削除問題など特徴的な問題が多いので、過去問での演習量で差がつくでしょう。大問6以外は前期と同様の出題傾向なので、過去問演習は前期の問題でも効果的でしょう。◆ 物理試験時間は理科2科目で120分、基本的には前期試験と同様の形式で、大問3題構成で、全問記述式です。力学と電磁気からの出題が多く、残りの1題が波動か熱力学から出題されている傾向にあります。中には、計算が重たい問題や、各大問の後半に差がつく内容が含まれる問題もあります。前期同様、描図問題が出題されることもあります。◆ 化学試験時間は理科2科目で120分、基本的には前期試験と同様の形式で、大問4題構成で、全問記述式です。大問1は、計算問題や用語問題などの小問集合が出題される年度が多いです。基本的な難易度の問題が多いので、着実に得点を目指しましょう。大問2以降では、用語問題、計算問題、描図問題、論述問題など、さまざまな形式で出題されています。前期試験同様、論述問題が多いことが特徴です。◆ 生物試験時間は理科2科目で120分、基本的には前期試験と同様の形式で、大問4題構成で、全問記述式です。医学部で出題されやすいテーマを中心に、基礎〜標準レベルの問題で構成されています。差がつくテーマや考察問題も一部出題されていますが、ほとんどは知識で解ける問題です。後期試験であることも踏まえると、高得点勝負になるでしょう。久留米大学医学部の後期試験は、英語の論述問題がない点が前期試験と異なりますが、基本的には前期試験と同様の出題傾向となっています。詳しい科目別の対策などはこちらのページにも記載しているので、参考にしてみてください。▶︎【私立医学部】久留米大学医学部の入試傾向と対策を徹底解説志望校選び・志望校別の対策を徹底サポート本記事では、私立医学部の後期試験について紹介しました。後期の出願校で悩んでいる受験生の参考になれば幸いです。私立医学部の入試では、入試問題との相性を確認し、自分に合った受験校を選択することが非常に大切です。また、最後まで諦めずに戦略的に戦えるかどうかが合否を左右します。志望校が決まったら、志望校の入試傾向に沿った学習に取り組みましょう。とはいえ、限られた時間の中で、自分ひとりで情報収集をおこなうには限界があるでしょう。スタディカルテLabでは、プロの学習プランナーによる無料学習相談を受付中です。受験校や併願校の選定に悩まれている方や、過去問研究を深めるためのアドバイスが欲しい方は、スタディカルテLabのLINEからお気軽にお声がけください。また、現在スタディカルテLabでは、医学部医学科への合格を目指している高校3年生・既卒生に向けて、入塾金不要の特別な「医学部 志望校別対策 直前個別指導パック」をご案内しています。医学部入試を熟知したプロ講師が、志望校の配点比率や入試傾向から逆算し、1人ひとりの合格課題を徹底解決。即効性の高い得点向上を叶えます。1科目から受講可能です。対象:2025年度入試で医学部医学科を受験予定の高校3年生・既卒生特典:入塾金不要申込期限:2025年2月28日(金)まで申込方法:Webページ内のフォームより申し込み詳しくは、以下からご覧ください。