2022年度から高校の新学習指導要領が開始したことに伴い、大学入学共通テストをはじめとする大学入試についても、2025年度(令和7年度)から、新課程に対応した入試がスタートします。旧課程を履修していた浪人生・既卒生の中には、新課程入試に向けて何をどう勉強するべきか不安な方も多いのではないでしょうか。本記事では、旧課程を履修していた方向けに、新課程入試での注意点と、必要な対策法を解説します。浪人が決まり(もしくは再受験を決意し)、どのような対策をしたらいいのかと悩んでいる方は、ぜひこちらの記事を参考にしてみてください。また、新課程入試の全体像については以下の記事もご参考ください。▶︎ 【新課程入試】2025年度からスタート!新課程入試の特徴、科目別の変更点を徹底解説新課程入試とは? 新学習指導要領による変更点を確認現在「新課程入試」と言われているものは、冒頭でも述べた通り、2022年度から高校で始まった新学習指導要領に対応する大学入試のことを指します。今回大きく変更のある科目を抜粋して、以下にご紹介します。◆ 数学新課程の数学では、大きな変更として、数学Bの「ベクトル」が数学Cへ移動となり、数学Ⅲの「平面上の曲線と複素数平面」が数学Cへ移動となりました。仮説検定の考え方や、数学Bでの統計的な推測など、統計教育が充実されています。◆ 理科理科については、科目の大枠に変化はありませんが、学習内容に一部変更があります。例えば化学では「核酸の構造」の項目が削除されたほか、「熱化学方程式」の文言が削除され、反応熱についてはエンタルピー変化とエントロピーで表す形に変更されました。他の科目についても、基礎科目と上位科目間でカリキュラム内容の移行や再編成などがおこなわれています。◆ 社会新課程の社会では、地理と歴史のカリキュラムが再編されました。「地理総合」と「歴史総合」が新設され、いずれも必修科目となっています。また、社会の一員として活動するためのさまざまな力を養うことを目的に、「公共」が必修科目として新設されました。◆ 情報情報教科については、今回の新課程で必修科目として「情報Ⅰ」が新設されました。プログラミングやネットワーク、データベース(データ活用)の基礎などを学びます。データサイエンスに関係する内容も充実しました。2025年度共通テストでの変更点と注意点旧課程履修者への経過措置2025年度の大学入学共通テストでは、旧教育課程履修者を対象に経過措置が用意されています。新課程を履修していない受験生は、地理歴史、公民、数学、情報の各教科において、旧課程科目を選択することが可能です。共通テスト「英語」※経過措置なし問題の出題形式などに大きな変更はありません。旧課程履修者も新課程履修者と同じ問題を解答します。これまでと同様、速く・正確に英文を処理する能力が問われる試験になると予想されます。共通テスト「数学」※経過措置あり数学については、学習指導要領の内容に変更があったため、旧課程履修者は経過措置科目を選択することが可能です。従前の共通テストでは数学②の試験時間は60分でしたが、2025年度の共通テストでは旧課程科目選択者でも試験時間が70分に変わる点に注意してください。試験時間が10分伸びるので、これまでよりも問題量が少し増えるのではないかと考えられます。共通テスト「国語」※経過措置なし旧課程履修者も新課程履修者と同じ問題を解答します。現代文に「実用的な文章」というテーマの問題が1題追加される予定で、大問数が従来の4題構成から5題構成に変更となります。この変更により、試験時間が80分から90分になり、配点も変更されます。これまでは現代文100点、古典100点だったものが、現代文90点(評論45点、小説45点)、図表の読み取り20点、古典90点(古文45点、漢文45点)となる予定です。対策方法に大きく変更はありませんが、試験時間の変更を踏まえ、試行問題や予想問題などで時間を意識した演習を重ねておく必要があるでしょう。共通テスト「理科」※経過措置なし問題の出題形式などに大きな変更はありません。旧課程履修者も新課程履修者と同じ問題を解答します。新課程の影響で学習する内容に多少変更点があるとはいえ、気にしすぎる必要はないと思われます。大学入試センターから出されている予告には、「必要に応じて,旧教育課程履修者等が選択可能な問題を出題する場合がある。」との記載があります。(参考:令和7年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テストの出題教科・科目の出題方法等の予告|大学入試センター )共通テスト「社会」※経過措置あり地歴公民については、新課程でカリキュラムに変更があったため、旧課程履修者は基本的には経過措置科目を選択することをおすすめします。社会の問題冊子が新課程用と旧課程用では別のものとなるため、旧課程履修者は出願時にどちらを希望するかを登録しておく必要があります。共通テスト「情報」※経過措置ありだが……2025年度の共通テストを受験する場合、旧課程を履修していた受験生であっても、原則「情報」の受験が必須となります。旧課程履修者は、試験当日に「情報Ⅰ」か「旧情報」のいずれかを選択できます。共通テストの情報の配点は大学によって異なるので、最新の募集要項で志望校の配点を確認しておきましょう。例えば北海道大学では、共通テストの情報の成績には配点がなく、成績同点者がいる場合の順位決定に活用するとされています。旧課程履修者の場合、これまで「旧情報」の対策をしてきていない人が多いのではないでしょうか。状況によっては「旧情報」ではなく、「情報Ⅰ」を受験するつもりでこれから勉強を始めるのも方法のひとつです。「情報Ⅰ」のほうが、参考書や問題集が豊富に出版されているので、対策に取り組みやすいと思われます。試行問題や参考書、志望校の募集要項や配点も確認した上で、どちらで受験するかを検討しておきましょう。「情報Ⅰ」についての詳細は、こちらの記事もご参考ください。▶︎ 「情報Ⅰ」の必修化で、大学受験はどう変わる?共通テスト試作問題からわかること2025年度個別学力試験での変更点と注意点続いては、大学別の個別学力試験について、特に新課程の影響が大きい数学、社会、情報の注意点をご紹介します。個別学力試験「数学」◆ 文系前述のように、今回の新学習指導要領で、数学のカリキュラムに変更がありました。文系の受験生にとって大きな変更点のひとつが、複素数平面です。「平面上の曲線と複素数平面」はこれまで数Ⅲの学習範囲でしたが、今回数Cへ移行したことで、文系学部志望の高校生・受験生でも学習が必要になりました。ただし、文系学部を受験する場合、ほとんどの大学の個別学力試験で複素数平面は出題されない見込みです。例えば、東京大学や千葉大学、筑波大学などの多くの文系学部では、数Cの出題範囲はベクトルのみとなる予定です。したがって、旧課程履修者の文系受験生であっても、複素数平面について過剰に心配する必要はありません。志望校の募集要項で出題範囲を確認してみましょう。◆ 理系理系の受験生については、数学の出題範囲に大きな変更点はありません。個別学力試験の対策方法を大きく変える必要はないと思われます。個別学力試験「社会」社会については、大学によって対応が分かれていますが、「地理総合」と「歴史総合」を出題範囲としている大学はあまり多くありません。ただし、北海道大学や一橋大学、千葉大学などの一部の大学では「地理総合」「歴史総合」が個別学力試験の範囲として設定されています。また、東京大学や京都大学、筑波大学などにおいては、個別学力試験では「地理総合」「歴史総合」が範囲外となっており、それぞれ「地理探究」「日本史探究」「世界史探究」が出題範囲とされています。いずれの大学も特別な経過措置はおこなわないものの、「旧教育課程履修者が不利にならないよう配慮する」という旨を公表しています。新旧課程で共通している範囲から出題されるなど、何かしらの対応が取られると思われます。個別学力試験「情報」2025年度の大学入試については、個別学力試験で「情報」を必須とする大学はほとんどありません。ただし、電気通信大学や高知大学など、一部大学の情報系学科では、2025年度個別学力試験の選択科目として「情報Ⅰ」が導入される予定です。また、広島市立大学情報科学科の後期日程は、「情報Ⅰ」の受験が必須となっています。もし個別学力試験を「情報」で受験する場合は、旧課程履修者であっても「旧情報」の選択はできないことに注意してください。新課程入試にどう対応する? 優先順位づけはプロに相談を本記事では、旧課程を履修していた方に向けて、2025年度新課程入試の注意点をご紹介しました。「新課程の対策をしたいが何から勉強すればいいかわからない」「情報の対策はいつからすればいいのか」など、新課程入試に向けてどう勉強するべきか不安な浪人生・既卒生は少なくありません。忙しい中、自分ひとりで入試情報をリサーチするにも、かなりの時間がかかります。また、インターネット上の情報は、その確かさにも注意が必要です。そのような時は、受験に精通しているプロに相談をするのもひとつの手です。スタディカルテLabでは、丁寧なヒアリングをもとに、ひとりひとりの学習状況に合わせて、学習計画の立て方や、優先順位のつけ方、勉強の進め方などをアドバイスしています。勉強や受験に関するお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度スタディカルテLabにご相談ください。毎週最大5名様まで、30分の無料学習相談を受付中です。▼ 無料学習相談について、詳細はこちらからまた、スタディカルテLabでは、60分の体験授業が無料です。新課程入試の受験に向けて具体的に対策を進めていきたい方は、ぜひ一度、プロ講師によるハイクオリティな指導をご体験ください。▼ 体験授業のお申し込みはこちらから。お待ちしております!