医学部に合格するためには、自分に合った志望校・出願校を選ぶことが重要です。しかしながら、「国公立医学部に進学したいけど、どの大学を目指したらいいかわからない」「どの大学に出願すべきか決められない」といった悩みを抱える高校生・受験生が少なくありません。本記事では、国公立医学部を目指す方に向けて、志望校・出願校の選び方を詳しく解説します。大学選びに悩んでいる方の参考になれば幸いです。医学部入試の基本まずは、医学部入試の基本的な流れや科目について確認していきましょう。入試(一般選抜)のスケジュール国公立大学と私立大学では、受験スケジュールが大きく異なります。国公立大学は毎年1月中旬に共通テストがあり、2月下旬に個別学力試験が実施されます。一方、私立大学は、1月から2月中旬にかけて各大学で試験が実施されます。国公立大学と私立医学部を併願する場合は、受験日程に注意してスケジュールを組む必要があります。国公立医学部の受験に必要な科目大学入学共通テスト6教科8科目が基本英語・数学・理科・国語・社会・情報個別学力試験(前期)英語・数学・理科2科目+面接が基本小論文が課される大学も個別学力試験(後期)小論文・面接・その他(総合問題等)国公立医学部の一般選抜を受験するにあたっては、大学入学共通テストの受験が必須となります。医学部を志望している場合、英語・数学・理科・国語・社会・情報の受験が必要です。ただし2025年度入試に関しては、新課程への移行措置として情報科目に配点がない大学もある(後述)ので、詳細は各大学の募集要項を確認してください。個別学力試験では多くの場合、英語・数学・理科2科目が課されます。一部、理科が課されない大学や、国語が必要となる大学、総合問題という特殊な形式での試験なども存在します。また、多くの大学では面接や小論文が課されます。最新の募集要項をよく確認しておきましょう。志望校を選ぶタイミングはいつ?志望校は、高校2年生頃から共通テスト本番を受験する前までの間に、ある程度絞っておきたいところです。大学の難易度、受験で必要な科目、入学後に学べる内容など、実際に大学のホームページやパンフレットを見ながら情報収集をしておきましょう。特に医学部受験においては、大学が所在する地域に関する内容が面接で聞かれる場合もあるので、余裕があればオープンキャンパスなどの機会に現地に行ってみることをおすすめします。共通テスト本番後に最終決定国公立医学部を受験するにあたっては、多くの場合、共通テスト本番を受験し、実際の得点率やボーダーラインを確認してから出願校を最終決定することになるでしょう。共通テスト受験後に慌てないよう、少なくとも以下の2つのパターン別志望校を事前に決めておけると安心です。パターンA:共通テストがうまくいったときパターンB:共通テストが想定よりもうまくいかなかったとき多くの受験生にとって、上記「パターンA」の大学が第一志望になると思われますが、トラブルシミュレーションとして、「パターンB」のように個別学力試験で逆転を目指さなければならないケースも考えておきましょう。試験の難易度や、共通テストと個別学力試験の配点比率によっては、「パターンA」と「パターンB」が同じ大学になることもあるでしょう。国公立大学を受験する場合、共通テストを受けてから10日程度で、出願する大学を選ぶ必要があります。共通テストが終わってから慌てて「パターンB」の大学を調べるとなると、大学の情報や入試問題との相性などを十分確認することができないままバタバタと出願することになってしまうかもしれません。出願校決定に後悔を残さないよう、早め早めに準備しておくことをおすすめします。志望校選びに重要な過去問分析+7要素志望校・出願校を選ぶにあたり重要な判断基準となるのが、過去問分析です。自分の志望校でどんな問題が出題されているのかを知り、自分との相性を確認することで、適切な意思決定をしたり、効果的な受験戦略を策定したりすることができます。過去問分析について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。▶︎ 合否を分ける「過去問分析」を徹底解説【国公立医学部】以下では、志望校・出願校を選ぶにあたって、過去問分析以外に重要となる7つの要素をご紹介します。7要素を参考に候補となる大学をピックアップし、それぞれの大学の過去問分析をおこなって、志望校を絞りこんでいきましょう。① 偏差値偏差値は自分の立ち位置を教えてくれる重要な指標で、志望校選びの参考にしている受験生も多いでしょう。自分の偏差値と気になる大学の偏差値を照らし合わせてみましょう。ただし、あくまで偏差値はひとつの指標に過ぎないことに注意が必要です。偏差値だけで判断せずに、他の要素もふまえて、自分に最適な志望校を選択しましょう。例えば、島根大学医学部と広島大学医学部は河合塾の偏差値を見ると同じ65.0ですが、出題傾向は異なっていて、対策すべきことも変わってきます。島根大学 医学部医学科広島大学 医学部医学科偏差値65.065.0共通テスト比率高い低い共通テスト科目別比率理科・国語・社会の比率が大きい社会の比率が小さい面接60点総合評価個別学力試験の科目数学・英語のみ数学・英語・理科2科目出題傾向少し難しめの問題も出題される標問高得点型特殊配点なしあり・理科重視型・英数重視型英検利用なし準1級は共テ満点扱い偏差値の活用法と国公立医学部の最新偏差値ランキングはこちらの記事をご覧ください。▶︎ 【国公立医学部】最新偏差値ランキング2025年度入試版!偏差値の活用法と志望校選びのポイントを解説② 共通テスト配点比率共通テスト配点比率とは、全配点のうち、共通テストの点数が占める割合のことです。共通テストで高得点を狙える受験生は、共通テスト配点比率が高い大学を選ぶと有利でしょう。個別学力試験で他の人に差をつける自信がある受験生は、個別学力試験の配点が高い大学を検討してみましょう。共通テスト配点比率は、共通テスト本番で失敗してしまった場合に逆転できそうな大学を選ぶにあたっても、非常に重要な指標になります。共通テストの配点比率ランキングはこちらの記事をご覧ください。▶︎ 【国公立医学部】大学入学共通テスト配点比率ランキング③ 共通テストボーダーライン共通テスト配点比率と同時に、ボーダーラインもチェックしておきましょう。共通テストにおけるボーダーラインとは、個別学力試験終了後の合格可能性が50%前後となる得点率のことを指します。共通テスト本番終了後に各予備校から発表される共通テストボーダーと、自分の得点率を比較し、志望校を最終決定しましょう。過去のボーダーラインも志望校選びの参考になるでしょう。国公立医学部の共通テストのボーダーラインはこちらの記事をご覧ください。▶︎ 【国公立大学医学部】共通テストの合格ボーダーランキング(2024年度入試最新版)④ 入試科目個別学力試験で課される科目は、大学によって異なります。以下では、2025年度入試について、科目に特徴のある大学をピックアップしてご紹介します。◆ 国語が課される大学東京大学理科三類と京都大学医学部の受験には、個別学力試験で国語が必要です。なお、山形大学医学部は2024年度に、名古屋大学医学部は2025年度に、個別学力試験での国語は廃止されることとなりました。◆ 個別学力試験で理科が課されない大学旭川医科大学、弘前大学、秋田大学、島根大学、徳島大学のように、医学部受験であっても個別学力試験で理科が課されない場合があります。理科の対策が間に合っていない現役生や、理科が苦手な再受験生など、状況に応じてこれらの大学を検討するのも作戦のひとつです。ただし、個別学力試験で理科が課されない代わりに、共通テストの理科の配点が1.5〜2倍に設定されている大学もあるため、注意してください。こちらの記事では、個別学力試験を理科なしで受けられる国公立医学部の配点分析と特徴についてご紹介しています。詳しく知りたい方はご覧ください。▶︎ 【国公立医学部】個別学力試験を理科なしで受けられる国公立医学部まとめ◆ 生物選択NGの大学医学部を受験するにあたっては多くの場合、物理・化学・生物から2科目を選択することになります。(なお、地学を選択できる大学はほとんどありません。)ただし、大学によっては理科の受験科目に制約が設けられている場合があります。群馬大学、金沢大学、名古屋市立大学、愛媛大学、九州大学、佐賀大学は、「物理・化学」が必須であり、生物選択は受験できません。また、北海道大学は物理が必須となっているため、「物理・化学」で受験する受験生が多いと思われます。志望校を決定する際は、自分の理科の選択科目で受験できるかどうかも確認しておくようにしましょう。◆ 情報科目が点数化されない大学2025年度の共通テストから「情報」科目がスタートします。新科目は傾向が掴めず、対策が難しいですよね。情報の配点比率は大学によって異なります。2025年度入試では、北海道大学、徳島大学、香川大学は共通テストの情報科目を点数化せず、成績同点者がいる場合の順位決定や、総合的に判定するための参考として利用する方針です。ただし、2026年度以降は点数化がおこなわれる可能性があるので、最新の入試要項をチェックしてください。⑤ 入試倍率国公立医学部は私立医学部と違い、前期日程に複数校を受験することはできません。そのため、志望校選択時には入試倍率も重要な指標となります。国公立医学部の入試倍率は平均するとおよそ4.5倍です。ただし大学によって約2〜10倍と幅広く、さらに医学部受験では、隔年現象(倍率が上がったり下がったりを1年ごとに繰り返す現象)が起こることも多いと言われています。入試倍率を確認する際には、直近の倍率だけではなく、過去数年分の倍率の推移を確認しておくことをおすすめします。また、入試倍率を参考にする際には、以下のように注意しなければならない点がいくつかあります。◆ 選抜方法の変更の影響入試方式や配点比率に変更があった年度は、受験情報の少なさから、志願者数が減少することがあります。例えば、2024年度の奈良県立医科大学は、共通テスト450点+個別学力試験450点の配点だった試験を、共通テスト900点+小論文100点の試験に変更したところ、志願者数が224人から57人に減り、定員割れとなりました。岐阜大学では2024年度に足切り倍率が大幅に変更されたため、志願者数が激減しました。◆ 新課程への移行の影響2024〜2025年度入試については、学習指導要領の変更による影響を考慮して「なるべく浪人したくない」と考える受験生が多くなると予想されます。共通テストで思うように得点できなかった受験生が挽回を狙うことで、個別学力試験の配点が高い大学に出願者が集まりやすくなることも考えられるでしょう。2024年度は、旧課程での最後の入試だったことが影響したのか、個別学力試験の配点が高く逆転できる可能性の高い大学の倍率が大幅に高くなりました(三重大学、愛媛大学、長崎大学など)。⑥ 再受験生への寛容度再受験生や既卒生(多浪生)は、再受験寛容度(≒年齢別の合格者の割合)も参考にすると良いでしょう。ただし、一概に「再受験に寛容」と言われる大学であっても20代・30代・40代で合格者数に差がある場合もあるため、どの年齢層に合格者がいるのかをよく確認しておきましょう。再受験生・多浪生に寛容な大学について知りたい方はこちらの記事をご覧ください。▶︎ 既卒生必見!再受験生・多浪生に寛容な国公立医学部とは?⑦ 地域枠選抜大学によっては、地域枠選抜という入試制度があり、一般選抜よりも少し低い点数で合格できる可能性があります。地域医療に携わりたい方は地域枠選抜もひとつの選択肢となるでしょう。地域枠選抜を設けている大学や、地域枠選抜のメリット・デメリットについては、こちらの記事をご覧ください。▶︎ 医学部地域枠とは?選抜制度と全国医学部の地域枠一覧を紹介志望校相性診断で、相性の良い国公立医学部を確認国公立医学部に合格するためには、偏差値や共通テストの配点比率、個別学力試験の科目、過去問との相性などをふまえて、自分に最適な大学を選択すること、そして、志望校の入試傾向に沿った合格に直結する学習に取り組むことが大切です。とはいえ、限られた時間の中で、自分ひとりで情報収集や過去問分析をおこなうには限界があるでしょう。スタディカルテLabでは、3分で国公立医学部との相性が確認できる「国公立医学部医学科 志望校相性診断」を無料でご提供しています。LINEに登録後、簡単な質問に答えていただくだけで、相性の良い志望校を診断することができます。ぜひご活用ください。スタディカルテLabでは、専門の学習プランナーによる過去問分析のサポートもおこなっています。初回30分が無料ですので「過去問分析についてプロからの客観的なフィードバックがほしい」と考えている受験生は、ぜひご相談ください。