競争率の高い医学部・難関大受験。合格の可能性を少しでも高めるには、闇雲に頑張るのではなく、今自分には何が必要なのかを正しく掴み、ポイントを押さえた学習に取り組むことが重要です。自分の現在地を正しく掴むために重要な指標のひとつが、「成績開示」の結果です。本記事では、成績開示の重要性と、その結果から何を読み取るべきかを解説します。さらに、成績開示結果から読み取った情報を踏まえて、合格に向けての学習の優先順位づけや、学習計画を立て方をご紹介します。もう一度大学受験にチャレンジしようと頑張っている浪人生・受験生の参考になれば幸いです。成績開示の目的と重要性成績開示の目的は非常にシンプル。それは、「合格点に何点足りなかったのか?」を正確に確認することです。入試本番の成績は、志望校に完全一致した模試の結果ともいえる多くの受験生は入試本番に臨むまでに、何度か模試を受験し、模試の判定を見ては一喜一憂してきたことでしょう。ただ、模試はあくまで模試であり、入試問題も受験者層も採点基準も、自分の志望校のそれと100%合致しているわけではありません。しかしながら志望校の入試本番は、入試問題も受験者層も採点基準も、自分の志望校のそれそのものです。(当然ですね。)開示した成績結果には、これまで受けてきた模試よりもずっと自分の志望校に特化する形で、合格に何が足りなかったのかが数値で明確に表されています。これを利用しない手はありません。自己認識と現実の得点とのギャップに向き合う耳が痛くなる話ですが、試験では往々にして、自己認識と現実の得点とにギャップが存在します。例えば、「英語が得意だったはずが、英作文の対策が甘くて思っていた以上に減点されていた」「難問を解けるくらい数学が得意なはずが、計算ミスで大問を丸ごと失点してしまった」など……。このようなギャップの存在に、きちんと向き合い、分析し、その克服に集中できるかどうかが、次の受験チャンスで合格できるかどうかに深く関わってきます。医学部合格に重要な戦略の指標に医学部受験においては、成績開示の重要性はさらに高まります。その理由は、医学部の入試傾向の多様性にあります。同じ偏差値65(※)の、奈良県立医科大学 医学部医学科と、金沢大学 医薬保健学域医学類について、入試傾向を比較してみましょう。奈良県立医科大学 医学部医学科は、共通テストで合否がほぼ決定し、個別学力試験では小論文が課されます。金沢大学 医薬保健学域医学類は、個別学力試験(英・数・理)の配点が非常に大きく、その内容は標準レベルの問題中心で、高得点が求められます。さらに、偏差値62.5の旭川医科大学 医学部医学科についても見てみましょう。旭川医科大学の個別学力試験は数学・英語のみであり、その内容は単科医科大学らしい難問です。(※ 偏差値は河合塾の公表値を参照)このように、同じ医学部受験であっても入試傾向は大学によって全く異なるのですが、その認識や対策が甘いまま入試本番を迎えている受験生は少なくありません。志望校の入試傾向を把握しないまま医学部を受験して不合格になってしまった場合、不合格の原因として、出題傾向の把握・合格ラインの算段が不十分だった(つまり、努力の方向性や対策内容がズレていた)可能性が高いことが考えられます。合格まで何点足りなかったのか、合格ラインをクリアするにはどの問題を解かなければならなかったか(解かなくてもいい問題はどれか)などは、受験生ひとりひとり異なります。成績開示の結果から、入試の結果や自分の弱点を客観的に把握し、次の受験に向けて、具体的な目標得点・学習計画を立てていきましょう。成績開示のタイミングと申し込み方法成績開示の方法や期間は、大学によって個別に設定されています。いつでも自由に開示してもらえるわけではありません。受験した大学のHPをよく確認しておきましょう。下記は、成績開示ができる大学の一例です。 申請期間が5月中となっている大学も多いので、タイミングを逃さないように注意してください。◆ 共通テスト成績開示の申請期間:共通テスト出願時成績開示の申請方法:共通テスト出願時に成績開示を希望するかどうかを選択する成績通知書は4月1日以降、志願票に記入した住所に書留郵便で送付される◆ 千葉大学 医学部医学科成績開示の申請期間:5月8日(水) ~ 5月31日(金)成績開示の申請方法:郵送にて申請 ※成績開示を申請できるのは、不合格者のみ◆ 東京医科歯科大学 医学部医学科成績開示の期間:5月2日(木) ~ 5月31日(金)成績開示の申請方法:出願時に申請 ※出願後の申請は不可能◆ 東京医科大学 医学部医学科成績開示の期間:6月1日(土)10:00 ~ 6月21日(金)23:59成績開示の申請方法:開示期間中に、インターネットでUCAROにアクセスして確認。申請書等は不要◆ 東京女子医科大学 医学部医学科成績開示の申請期間:5月7日(火) ~ 5月24日(金)成績開示の申請方法:郵送にて申請成績開示の結果を分析する4ステップ成績開示の情報をみて一喜一憂するだけではあまり意味がありません。以下に、成績開示の結果を分析するステップと、押さえておくべきポイントを解説します。STEP1:傾斜配点・共通テストボーダーを調べる国公立大学を受験した場合は、まずは共通テストのボーダーラインを確認しましょう。大学によって傾斜配点が異なることに注意してください。理科の配点が2倍になっていたり、英語や数学の配点が半分になっていたりします。傾斜配点を計算した後に、ボーダーと比較して、差が何点あるかを確認してください。(私立大学を受験生した方は、STEP1は省略してください。)STEP2:合格最低点・合格平均点から目標点を設定する受験した大学について、その年度の合格最低点・合格平均点は何点だったかを調べましょう。合格最低点を超え、合格平均点に近い点数で、その年度の合計目標点を設定します。合計目標点から共通テストのボーダー点を引いた数字が、「共通テストでボーダーラインを取れたと仮定したときの、個別学力試験の目標点」です。(私立大学を受験した方は、共通テストの点数は考慮しなくて大丈夫です。)STEP3:成績開示結果と目標点の差分を算出するSTEP2で算出した個別学力試験の目標点から、教科別の目標点を設定します。その上で、成績開示での実際の得点と比較し、各教科について目標点から何点足りなかったのか、差分を算出してみましょう。STEP4:各教科の重点課題と対策を考察する最後に、各教科で足りなかった点数を得点するためにはどのような学習が必要かを考えましょう。例えば、英語の目標点が200点中160点で、実際に得点できた点数が120点だったとすると、足りなかった点数は40点です。試験内容を振り返って、この40点をクリアするには、・長文読解のスピードが足りなかったこと・自由英作文を自信を持って書ききれなかったことが、課題であるとわかったとします。このような自身の重点課題を、いつまでに・どのように克服するかが重要です。漠然と勉強するのではなく、どの科目に重点を置き、時間配分をどうするか、最適な勉強方法は何か、などを見極めることが合格への近道です。成績開示結果を分析し国公立医学部に合格した事例続いて、成績開示の結果から適切な受験戦略を立てて国公立医学部の合格を勝ち取った、Yくんの事例をご紹介します。Yくんは、2023年度の入試で国公立医学部を受験しましたが、不合格に。スタディカルテLabの学習相談を通して成績開示の結果を分析したところ、不合格の主な原因は「共通テストの対策不足」「個別学力試験の理科での失点」であることがわかりました。その後、少しでも合格可能性の高い国公立医学部を狙いたい、という考えのもと、得意な国語・社会の配点が高く、苦手な理科の負担が少ない、島根大学医学部医学科に志望校を変更。学習プランナーのサポートを受けながら重点課題を克服するための学習計画を作成し、見事2024年度入試で島根大学医学部医学科の合格を勝ち取りました。Yくんの合格までの詳しい軌跡はこちらの記事をご覧ください。▶︎ 合格体験記2024 文系から再受験で島根大学医学部医学科に合格!理数の偏差値を+15以上伸ばした受験勉強(Yくん)プロの学習プランナーがあなたの大学受験に伴走します医学部・難関大受験は、使用教材や授業の良し悪しだけではなく、受験戦略が合否を分けることも少なくありません。本記事では成績開示結果の分析方法を解説しましたが、もし自力では上手くいかない場合や、第三者に客観的に確認してもらいたいときには、ぜひスタディカルテLabの学習相談をご活用ください。スタディカルテLabは、医学部・難関大受験に精通したプロフェッショナルが集結している、オンライン個別指導塾です。プロの学習プランナーが、あなたの勉強や受験について一緒に考え、アドバイスをお伝えします。(保護者の方からのご相談も承っております。)学習相談は初回30分が無料です。この機会にぜひご活用ください。▼ 無料学習相談について、詳細はこちらからまた、スタディカルテLabでは、60分の体験授業が無料です。次の受験本番に向けてポイントを押さえた対策を進めていきたい方は、ぜひ一度、プロ講師によるハイクオリティな指導をご体験ください。▼ 体験授業のお申し込みはこちらから。お待ちしております!