一度は諦めた医学部への道に再挑戦したい。現状を変え、医師として人の役に立ちたい。そんな想いを胸に、社会人として働く中で再び医学部を目指そうと決意したものの、以前の受験から時間が経ち、「勉強にブランクがある」「仕事と勉強の両立が不安」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。社会人としての再受験には、勉強時間の確保や受験費用、そして情報不足など、学生時代の受験とは違った難しさがあります。しかし、あらかじめ医学部再受験の実態を知り、備えておくことで、対応は十分に可能です。本記事では、社会人として医学部再受験を考えている方に向けて、受験を始める前にぜひ知っておいていただきたい大切なポイントをお伝えします。1. 再受験の入試方法を知る医学部に再受験で入学するには、主に一般入試と学士編入の2つの方法があります。まずは、自分の現状を把握して、どちらの入試で受験するかを検討しましょう。一般入試一般入試は、基本的に、年齢や学歴による制限がないため、再受験生も現役生や浪人生と同じ条件で受験することが可能です。試験内容は、国公立の場合は、大学入学共通テスト+個別学力試験が中心、私立の場合は、個別学力試験や小論文が中心です。合否は主に学力で判断されますが、面接の際に年齢や職歴が考慮される可能性があります。再受験生が、一般入試で医学部に合格する可能性を高めるためには、以下の点に注意して大学を選ぶをことが重要です。科目ごとの配点個別学力試験の出題傾向と自分の得意科目との相性再受験生に比較的寛容とされる大学かどうか詳しくは、本記事の、2. 最新の医学部の受験情報について知る、3. 目指す大学は慎重に選ぶで解説していますので、あわせてご覧ください。学士編入学士編入は、大学卒業者(または卒業見込み者)を対象とした、医学部の2年次または3年次に編入できる制度です。出題科目は大学により異なりますが、主に以下が中心です。英語(TOEIC・TOEFLなど英語外部試験のスコアが必要な場合もある)自然科学や生命科学の総合問題小論文面接学士編入は、自然科学などの特別な試験対策が必要になりますが、再受験生が比較的挑戦しやすい入試形式だといえるでしょう。ただ、編入試験を実施している大学が限られており、募集定員も少ないため、一般選抜と比べて倍率が高い傾向になる点には注意が必要です。近年では、2024年度に久留米大学で、2025年度に東京医科大学で編入試験が開始されるなど、実施大学は少しずつ増えてはいるものの、全国での定員は国公立・私立あわせて約200名程度にとどまります。▼ 学士編入学の例北海道大学 医学部 医学科募集定員:5名編入学年次:医学部医学科2年次第1学期に入学し、修業年限は5年出願要件・4年制以上の大学を卒業済み又は卒業見込みで、学位を授与された者・TOEFL-ITP 530点以上 / TOEFL-iBT 71点以上 / TOEIC L&R 680点以上試験内容・一次試験:生命科学総合問題・二次試験:課題論文、面接参照:令和7年度北海道大学医学部医学科学士編入学 学生募集要項|北海道大学医学部島根大学 医学部 医学科・2年次編入と3年次編入があり、3年次編入では「歯科医師,獣医師,薬剤師のいずれかの免許を保持する者」という条件が必要参照:令和7(2025)年度募集要項(編入)|島根大学また、一部の大学では再受験生でも推薦入試や総合型選抜が受けられる場合があります。例えば、獨協医科大学の総合型選抜では、30歳未満であれば再受験生でも出願可能です。推薦入試は基本的に現役生を対象とすることが多いため、このような制度は例外的ですが、条件を満たせば再受験生でも受験が可能な場合があるので、各大学の募集要項を確認してみてください。2. 最新の医学部の受験情報について知るここから先は、一般入試で医学部再受験を目指す場合に押さえておきたいポイントを解説します。どれくらいの費用がかかる?医学部再受験を考えるうえで、まず把握しておきたいのが費用面です。再受験には、主に以下の費用がかかるでしょう。受験勉強にかかる費用(塾・予備校代、参考書代など)受験料入学金授業料引越し費用受験料は、国公立医学部で3万5000円、私立医学部では6万円程度としている大学が多いです。複数校を受験する場合は、受験料だけでも何十万円もかかることを想定しておきましょう。それに加えて、地方から私立医学部を受験する場合、移動費や宿泊費なども必要になります。また、私立医学部は入学金と授業料を含めて6年間で2,000〜3,000万円以上かかる場合も珍しくありません。せっかく合格したのに学費が払えないということがないように、早い段階で資金計画を立てておきましょう。医学部の学費ついて、詳しくはこちらの記事もご覧ください。学費と偏差値の関係や、近年の学費動向についても解説しています。▶︎ 私立医学部学費ランキング2025 奨学金や地域枠の活用方法、最新の学費動向も紹介過去の受験情報を鵜呑みにしない再受験生が、大学を卒業してからどのくらいの年月が経っているかにもよりますが、過去の受験情報のまま勉強を進めていくことは非常に危険です。入試形式は年々変更されている可能性が高いので、最新情報を正しく把握するように心がけましょう。たとえば、国公立大学を目指す場合は、2025年度以降の共通テストでは「情報I」が必要です。プログラミングの知識などが必要になるので、高校時代にあまり対策をしていない場合は、新課程入試に対応できるよう、出題内容をよく確認しておく必要があります。他にも、2025年度以降の共通テストでは以下のような変更点があります。社会:「歴史総合」と「公共」が新設され、選択科目によっては追加の学習が必要に。数学:「数学1A」で選択問題がなくなる。また、「数ⅡB」が「数ⅡBC」に変更にされ、「複素数平面」が出題範囲に追加される。国語:「実用的な文章」が追加され、大問5問構成に。新課程入試における注意点を知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。▶︎ 【新課程入試】2025年度からスタート!新課程入試の特徴、科目別の変更点を徹底解説また、私立医学部を狙う受験生の場合も注意が必要です。旧課程で学んできた方は、特に数学や理科の出題範囲や用語の変更点を押さえておきましょう。例えば、化学においては、遷移元素とアルカリ土類金属の定義が変更されたり、「熱力学」の単元で、旧課程では熱化学方程式が利用されていたところ、新課程ではエンタルピーの概念で計算をする必要が出てきました。その他の科目でも、用語や記述の表現が変わっていることもあるので、本格的な対策をおこなう場合は、新課程に対応した参考書や問題集を使いましょう。どのくらいの難易度なのか?医学部受験は、再受験生にとっても現役生にとっても、ハイレベルな戦いです。そのため、まずは入試の難易度と必要とされる学力レベルについて理解しておくことが大切です。一般的に、医学部のボーダーラインは、河合塾の全統模試で偏差値65.0前後が目安です。再受験を決めた後、ある程度勉強が進んだ段階で模試を受けて、自分の立ち位置を客観的に把握することをおすすめします。模試の結果をもとに、1年で医学部合格を目指すことが可能か、それとも2〜3年計画で目指すべきかといった方針を立てるのが良いでしょう。なお、文系出身の方は、理系科目を基礎から身につけなくてはならないため、対策にはより多くの時間を要することは覚悟しておきましょう。各大学の偏差値については、以下の記事も参考にしてください。▶︎ 【国公立医学部】最新偏差値ランキング2025年度入試版!偏差値の活用法と志望校選びのポイントを解説▶︎ 【私立医学部】最新偏差値ランキング2025年度入試版!志望校選びのポイントを解説3. 目指す大学は慎重に選ぶ特に30代以上の年齢で医学部再受験に臨む場合、志望校選びも重要になってきます。再受験生の合格のしやすさは大学によって異なるので、入学者の年齢を確認し、自分の年齢以上の合格者が多い大学を受験候補とすると良いでしょう。目安として、数年間にわたって23歳以上の入学者が複数人いる場合は、再受験生に寛容な大学といえるでしょう。例えば、再受験生に寛容といわれている滋賀医科大学の2024年のデータは以下のとおりです。23歳以上の入学者割合:6.32%30歳以上の入学者割合:3.16%出典:大学基本情報|大学改革支援・学位授与機構再受験生に寛容といわれる大学でさえ、30歳以上で合格する割合は、全体の合格者のわずか3%ほどとなっています。再受験に寛容な国公立医学部については、こちらもご覧ください。▶︎ 既卒生必見!再受験生・多浪生に寛容な国公立医学部とは?働きながら勉強するか、仕事を辞めて勉強するか最後に、実際に再受験を始めようとする多くの社会人が悩むのがこの問題です。仕事の継続について悩んでいる場合は、まずは、働きながら勉強をすることをおすすめします。まずは勉強を始めてみて、そもそも自分は本当に医学部を目指すことができそうかを確認してみましょう。仕事を辞めても経済的な不安がない場合を除き、生活面に困らないようにしておくと、精神的にも落ち着いて対策を進められるでしょう。仮に再受験を断念した場合にも、生活の基盤が崩れないというメリットもあります。そのうえで、医学部に挑戦できそうな学力レベルに到達してから、資金面にある程度の余裕がある場合には、最後の1年間は勉強に専念するという作戦も有効です。再受験合格には自分に合った戦略と学習計画が重要本記事では、医学部再受験を始める前に知っておきたい重要なポイントをご紹介しました。仕事と勉強の両立や、志望校選びに悩んだ際は、医学部受験に精通したプロにアドバイスをもらうのも有効です。限られた時間を効率的に使うためにも、専門家の知識を活用して、無駄のない学習計画を立てましょう。医学部受験は時間的・金銭的負担も大きい挑戦ですが、合格の鍵となるのは、強い覚悟と継続する意志です。自分の目標を明確にし、戦略的に再受験に臨みましょう。また、医学部では学力試験だけでなく面接も重視されるため、「なぜ医学部を目指すのか」という志望動機を深めておくことも大切です。スタディカルテLabでは、丁寧なヒアリングをもとに、ひとりひとりの学習状況に合わせて、学習計画の立て方や、優先順位のつけ方、勉強の進め方などをアドバイスしています。勉強や受験に関するお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度スタディカルテLabにご相談ください。毎週最大5名様まで、30分の無料学習相談を受付中です。▼ 無料学習相談について、詳細はこちらからスタディカルテLabでは、3分で可能な国公立医学部志望校診断をリリースしています。LINEに登録して、簡単な質問にお答えしていただくだけで、あなたに最適な志望校を提示します。また、スタディカルテLabでは、60分の体験授業が無料です。新課程入試の受験に向けて具体的に対策を進めていきたい方は、ぜひ一度、プロ講師によるハイクオリティな指導をご体験ください。▼ 体験授業のお申し込みはこちらから。お待ちしております