高い学力が要求される国公立医学部入試。医学部受験生の中には、何年もの浪人生活や再受験を経て医学部に合格するケースも少なくありません。多浪生や、働きながら医学部受験を目指している方の中には、年齢の壁を不安視している方もいるのではないでしょうか。本記事では、再受験生が志望校を選ぶ時のポイントや、再受験に寛容な国公立医学部をご紹介します。医学部再受験にあたって志望校・出願校を悩んでいる方や、ブランクがあっても入れる医学部を探している方の参考になれば幸いです。再受験に寛容な大学と厳しい大学がある?合格者の内訳を参考にすると、大学ごとの再受験寛容度が見えてきます。今回、大学改革支援・学位授与機構が公表している2016〜2023年における「大学基本情報」のデータをもとに、国公立大学医学部合格者の年齢分布を調査。スタディカルテLabにて、全国52の国公立医学部について多浪生・再受験生(=23歳以上)の合格実績が「多い」「普通」「少ない」の3種類に分類したところ、次のようになりました。(参考:大学基本情報|大学改革支援・学位授与機構 )多い札幌医科大学・山形大学・新潟大学・富山大学・山梨大学・信州大学・名古屋市立大学・三重大学・滋賀医科大学・和歌山県立医科大学・鳥取大学・島根大学・香川大学・長崎大学・熊本大学・琉球大学普通旭川医科大学・弘前大学・東北大学・福島県立医科大学・群馬大学・横浜市立大学・福井大学・岐阜大学・名古屋大学・京都府立医科大学・大阪市立大学・神戸大学・奈良県立医科大学・岡山大学・広島大学・山口大学・徳島大学・高知大学・九州大学・大分大学・宮崎大学・鹿児島大学少ない北海道大学・秋田大学・筑波大学・千葉大学・東京大学・東京医科歯科大学・金沢大学・浜松医科大学・京都大学・大阪大学・大阪公立大学・愛媛大学・佐賀大学寛容度を見るときは合格者の年齢も要確認合格実績が「多い」「少ない」といった基準をもとに大学を見る時は、合格者の年齢もよく確認しておきましょう。例えば、一口に「多い」といっても、20代の合格者は一定数いるけれど、40代の合格者はいない大学30代、40代の合格者が定期的にいる大学のように、合格者の内訳に違いがある場合があります。23歳以上の合格者が多い大学=40代の受験生にも寛容 とは言い切れない点に注意が必要です。受験を検討している大学については、どの年齢層に合格者がいるのかはよく確認しておくと良いでしょう。再受験生が志望校を選ぶ時にチェックすべきポイント大学合格のためには、大学ごとの特徴を掴み、志望校を選ぶことがとても重要です。さらに、最短距離で医学部合格を目指す再受験生にとっては、限られた時間を有効に使うために、戦略的に志望校を決定することも大事になるでしょう。そこで、再受験生にこそチェックしてほしいポイントを4つご紹介します。1. 年齢別の合格者数前述したように、年齢別の合格者数を確認しておくことをおすすめします。入試年度によって変化する場合もあるので、過去数年分のデータを確認できると良いですね。2. 個別学力試験の科目国公立医学部の個別学力試験では、多くの場合、数学・英語・理科が課されます。しかし中には、理科がなかったり、国語が必要だったりする大学もあります。個別学力試験の科目は大学ごとに異なるので、事前によく確認しておきましょう。特に、理科があるかないかによって、各科目にかけられる勉強時間が変わるので、学習計画に大きな違いが出てくる可能性があります。個別学力試験で理科がない大学については、以下の記事も参考にしてください。▶︎【国公立医学部】個別学力試験を理科なしで受けられる国公立医学部まとめ3. 共通テスト比率全配点のうち、共通テストの配点が占める割合を確認しましょう。共通テストの配点比率が個別学力試験よりも大きい場合、その大学は共通テストを重視しています。共通テストで点数を稼ぐことができれば、個別学力試験で多少の失敗があったとしても逃げ切れる可能性があります。反対に、共通テストの配点比率が小さい場合、その大学は個別学力試験をより重視しています。共通テストで逃げ切る戦略は使えませんが、共通テストで多少失敗しても、個別学力試験の成績次第では挽回できる可能性が出てきます。配点比率に関しては、以下の記事も参考にしてください。▶︎【国公立医学部】大学入学共通テスト配点比率ランキング4. 個別学力試験の難易度実際に過去問を見て、個別学力試験の難易度を確認しましょう。重要なのは、難しいか易しいかだけを見るのではなく、問題の難易度に応じて適切な戦略を立てることです。問題が難しいからといって、必ずしも合格が難しいとは言えません。問題が易しいから合格しやすいとも限りません。問題の難易度を確認した上で、「標準レベルの問題でまんべんなく得点しておこう」「難易度の高い問題は部分点を狙おう」といった方針を立てられると良いでしょう。再受験に寛容な国公立医学部5選以上の4つのポイントを踏まえ、特に再受験に寛容と思われる大学を5つご紹介します。※ 配点は年度によって変更されている可能性があります。必ず最新の募集要項で確認してください。島根大学|個別学力試験は英数のみ数学英語理科国語社会情報面接合計共通テスト10010020020010030730個別学力試験20020060460合計配点3003002002001003060119023歳以上の合格者割合:16.67%(2023年度入試)40歳以上の合格者数:各1名(2017、2018、2020、2021年度入試)共通テストの国語・社会の得点が圧縮されないので、文系科目が得意な受験生に有利です。個別学力試験では理科が出題されません。理科が苦手な再受験生や、文系から理転した受験生などにおすすめです。一方で、共通テストの理科の配点は大きいので対策は入念におこないましょう。 ▶︎【国公立医学部】島根大学医学部の入試傾向と対策を徹底解説 —2次は数学と英語だけでの勝負—三重大学|理科が得意な受験生におすすめ数学英語理科国語社会情報面接合計共通テスト10010020010010050650個別学力試験200200200100700合計配点30030040010010050100135023歳以上の合格者割合:10.4%(2023年度入試)40歳以上の合格者数:1名(2019年度入試)、1名(2020年度入試)共通テストの数学と英語が半分に圧縮されるため、相対的に理科重視の配点になっています。個別学力試験では標準問題が中心に出題されます。標準問題を正確に解き、応用問題にいかにアプローチできるかで差がつきます。理科が得意で、記述問題でしっかり得点できる受験生には有利でしょう。▶︎【国公立医学部】三重大学医学部の入試傾向と対策を徹底解説 —数学は数3微積分で差がつく。理科の配点高く、標準問題で高得点争い—滋賀医科大学|国語が得意な受験生におすすめ。個別学力試験には難問も数学英語理科国語社会情報面接合計共通テスト10010010020010050650個別学力試験200200200あり600合計配点30030030020010050125023歳以上の合格者割合:9.47%(2023年度入試)40歳以上の合格者数:2名(2018年度入試)、1名(2021年度入試)例年、再受験生に寛容な傾向が見られる大学です。共通テスト650点・個別学力試験600点の合計1250点と、面接の総合評価で合否が決まる、バランス型の配点です。個別学力試験の問題は難易度が高く、受験生にとって見慣れないような問題が出題されることもあります。入試本番で解くべき問題を見極めた上で、難しい問題で部分点をどれだけ得点できるかが重要です。▶︎【国公立医学部】滋賀医科大学医学部の入試傾向と対策を徹底解説 —2次の理科で実力差がつきやすい。難問を無理して解かずに標準問題を確実に—香川大学|標準問題を確実に得点できるかが鍵数学英語理科国語社会情報面接合計共通テスト100100200200100700個別学力試験200200200100700合計配点300300400200100100140023歳以上の合格者割合:9.17%(2023年度入試)40歳以上の合格者数:1名(2016年度入試)共通テストでは数学と英語の配点が半分に圧縮されるため、相対的に国語と社会の配点が大きくなります。個別学力試験では標準問題が中心に出題されます。高得点争いになることが予想されるので、記述問題でしっかり得点できるように対策をしておくことが必要です。▶︎【国公立医学部】香川大学医学部の入試傾向と対策を徹底解説 —論述・自由英作で差がつく—熊本大学|個別学力試験の配点が高く、記述力が問われる数学英語理科国語社会情報面接合計共通テスト501001001005050450個別学力試験200200200200800合計配点2503003001005050200125023歳以上の合格者割合:4.55%(2023年度入試)40歳以上の合格者数:2016〜2023年度においては0名旧制医大や旧六医大と呼ばれる大学のひとつです。共通テストの配点比率が小さいため、共通テストのボーダーラインを多少下回っても、個別学力試験の結果次第では逆転できる可能性があります。数学・英語・理科の合計の配点比率が大きな割合を占めているため、主要3科目は徹底的に対策しておきましょう。個別学力試験の理科は標準問題中心であるため、高得点勝負になりそうです。記述が得意な再受験生にとっては有利でしょう。▶︎【国公立医学部】熊本大学医学部の入試傾向と対策を徹底解説 —理科は高得点勝負、英語と数学は実力差が出やすい内容—再受験時は面接対策も重要ほとんどの大学の医学部入試では、個別学力試験において面接試験が課されています。現役生はもちろん、再受験生にとってはなおのこと面接対策が重要です。なぜなら、再受験生に対して質問されやすい項目があるからです。再受験生が聞かれやすい質問内容と、回答時のポイントを具体的に見ていきましょう。再受験する理由を説明できるように再受験生は、「なぜ浪人したか」「どのような思いで再受験するか」といった質問をされる場合があります。自分の考え方や思いを整理し、再受験する理由を説明できるように準備しておきましょう。さらに、数ある医学部の中でなぜその大学を選んだのかを明確にし、熱意を込めて面接官に伝えられると良いでしょう。これまでの経歴をわかりやすく説明できるように再受験に至るまで、どのように過ごしてきたかをわかりやすく説明できるようにしておきましょう。面接の場では、必ずしも自分を大きく見せようとする必要はありません。どのように回答すれば良いか悩む場合は、これまでの経歴を振り返り、課題にどう向き合ったか、どう克服したか、といった点を整理するのがおすすめです。将来のビジョンをわかりやすく「入学後に学びたいことは何か」「どのような医師になりたいか」など、思い描いている将来像を聞かれることがあります。卒業後のことも見据えて、ビジョンを具体的にわかりやすく答えられるようにしておきましょう。自分のこれまでの経験が将来とどのように結びつくかを示すことができると、説得力のある回答になります。こういう時はどうする? 面接対策FAQ面接対策についてさらに詳しい内容が知りたい方は、以下の記事もご覧ください。面接対策に精通するプロ講師のアドバイスをもとに、効果的な面接対策のポイントと戦略を解説しています。▶︎ 【質問リスト50選を配布中】医学部合格を掴み取る面接対策をプロが伝授!医学部再受験は志望校選びと受験戦略が重要国公立医学部の再受験では、志望校の選び方と、入試傾向をもとにした受験戦略が重要です。現役生とは異なり、入試までどのような環境で過ごすか、どのように学習を進めていくか、といったあらゆることが自分自身に委ねられている再受験生。スタディカルテLabでは、丁寧なヒアリングをもとに、ひとりひとりの学習状況に合わせて、学習計画の立て方や志望校選びのサポートをおこなっています。勉強の進め方や学習計画についてはもちろんのこと、「A大学とB大学どちらを受験するか迷っている」というような志望校選びや進路のご相談も承ります。勉強や受験に関するお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度スタディカルテLabにご相談ください。毎週最大5名様まで、30分の無料学習相談を受付中です。▼ 無料学習相談について、詳細はこちらからまた、スタディカルテLabでは、60分の体験授業が無料です。医学部合格に向けて具体的に対策を進めていきたい方は、ぜひ一度、プロ講師によるハイクオリティな指導をご体験ください。▼ 体験授業のお申し込みはこちらから。お待ちしております!