2022年度から高校で新学習指導要領がスタートし、新しく「地理総合」が必修科目となったとともに、歴史科目に関しては「歴史総合」という科目が必修化しました。また、令和7年度(2025年度)の大学入学共通テストでは、地理歴史で「地理総合」「地理探究」「歴史総合」「日本史探究」「世界史探究」が、公民では「公共」「倫理」「政治・経済」が出題されることが予定されています。新しく始まった「歴史総合」。現行の「日本史A」「日本史B」や「世界史A」「世界史B」とはどのような違いがあるのでしょうか? 大学入試をとりまく社会の動きを踏まえながら、今後の受験で求められる内容について解説します。なお、2024年度までの共通テスト【日本史】については、こちらの記事もご参考ください。▶︎ 共通テスト【日本史】攻略のポイント —2023年度の出題から傾向を分析—歴史総合は近現代史がポイント歴史総合では、これまで「日本史」「世界史」と別々の科目として学んでいた内容を統合し、融合した科目として、日本史と世界史を横断した学習をおこないます。ただし、全年代に渡って統合されるのではなく、18世紀以降の近現代史についてのみ統合されるという特徴があります。具体的には、18世期以降の「近代化」「国際秩序の変化や大衆化」「グローバル化」の3つを中心に学びます。近代化近代化とは、一般的には社会や経済の発展に伴う技術や制度、思想などの進歩や、その過程のことを表しますが、歴史総合の科目においては特に、18世紀後半〜現在に至るまでの工業化と政治変革、日本を含むアジアやアフリカの変容を中心に取り扱います。国際秩序の変化や大衆化主に19世紀後半〜現在における国際紛争や国際協調など、国同士の関係やルールの変容について扱うとともに、大衆の政治参加や文化活動など、大衆社会が形成される過程やそれによってもたらされたものについて学びます。グローバル化世界がつながり、国境を越えてヒト・モノ・カネ・情報等がいっそう流動するようになった20世紀後半〜現在について、国際秩序・環境問題・貧困や人権の問題などにも触れながら、グローバル化によってもたらされたものを学び、今後の展望についての考察を深めます。従来の歴史授業に不足していたものとはなぜこのような新たな学びがスタートしたのでしょうか?従来の歴史授業の多くは、多くの用語を暗記したり、網羅的に歴史的事象をインプットしたりと、暗記中心の内容に偏りがちでした。そのため、考える・分析する・探究するといった要素の不足が課題となっていました。例えば、資料(史料)を見てそこから読み取れることを分析したり、当時起きていた社会の変化に注目して深く探求したり、といった学びに取り組む機会が少なかったのです。また、歴史科目が「日本史」「世界史」に分かれていたため、それぞれの歴史的事象を学ぶ一方で、日本と世界との関わりについての学びは内容が限定されていたことも課題でした。上記のような課題を背景に、2022年度からの新学習指導要領では、インプット中心の暗記学習から脱却し、歴史的な出来事と現代の出来事や課題とを関連させ、考察する力を重要視しています。さらに、近代以降の歴史を広く捉え、日本と世界との相互の関連性についてより深く学ぶことが示されています。共通テスト試作問題の概要と分析大学入試センターが公表した試行問題の内容からは、次のような特徴が見られます。日本史探究近現代の割合がかなり高い。複数の資料(史料)を組み合わせて読み取る問題が多い。日本史の教科書に出てくる外交史を押さえておけば、世界史を全く履修していなくても正解が導けそうな出題内容となっている。世界史探究近現代の割合がかなり高い。日本史で学ぶ用語も問われるため、日本史の知識がないと解きにくい可能性がある。従来の世界史内容+関連する日本分野の学習が必要になりそうな出題内容となっている。上記のように、大学入試センターの試作問題を参考にすると、世界史探究よりも日本史探究の方が受験生にとっては若干有利になる可能性がありそうです。世界史探究を選択予定の方は、中学内容の日本史を復習しておくことをおすすめします。全体の方針として、共通テスト歴史総合では「歴史に関わる事象を多面的・多角的に考察する過程」を重視するといわれています。基礎的な歴史用語や知識が必要であることに変わりはありませんが、出来事の意義や特色、他の事象との関連等について、総合的に考察する力も大切です。「初めて見る資料から得られる情報と、授業で学んだ知識を関連付ける問題」や、「仮説を立て、資料に基づいて根拠を示したり、検証したりする問題」などが出題される可能性があるので、傾向を意識して、問題文から情報を読み取るトレーニングを重ねておくことをおすすめします。(参考:令和7年度試験の問題作成の方向性,試作問題等|大学入試センター)※ 共通テスト歴史総合の出題内容は、試作問題を踏まえて問題構成が検討される可能性が高いです。受験を控えている方は、できるだけ最新の情報を確認しておきましょう。「社会は暗記」には要注意!最新の入試傾向を確認しよう歴史総合の内容を改めて確認すると、「どのような学力が重視されているか」が見えてきました。“社会は暗記科目” というイメージを持ったままでは、歴史総合の対策が後手に回ってしまうかもしれません。早めに大まかな出題傾向を掴み、準備しておきましょう。とはいえ、忙しい中で自分ひとりで入試傾向や大学情報をリサーチするのは、時間がかかります。また、インターネット上の情報は、その確かさにも注意が必要です。そのような時は、受験に精通しているプロに相談をすることもおすすめ。スタディカルテLabでは、丁寧なヒアリングをもとに、ひとりひとりの学習状況に合わせて、学習計画の立て方や勉強の進め方などをアドバイスしています。勉強や受験に関するお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度スタディカルテLabにご相談ください。毎週最大5名様まで、30分の無料学習相談を受付中です。▼ 無料学習相談について、詳細はこちらからまた、スタディカルテLabは現在、新規受講生を募集しています。「苦手科目を克服したい」「志望校に特化した対策で効率的に学習したい」「オンラインでの受験勉強を考えている」という方は、ぜひ一度、体験授業を受講してみてくださいね。▼ 体験授業のお申し込みはこちらから