みなさんは「海洋系学部」と聞いてどんな内容をイメージしますか?そもそも海という存在は、地球の面積の約7割を占めるほど規模が大きく、そこにはいろいろな要素を含んでいるため、“海の学問” を具体的にイメージすることは簡単ではないかもしれません。農学部や工学部、理学部などは多くの大学に設置されていて、なんとなくイメージが掴める方も多いと思いますが、海洋系の学部を有する大学は限られていたり、大学によっては「農学部」「水産学部」のように学部名が違っていたりと、その実態が掴みにくいのではないかと思います。そこで本記事では、海洋系学部で学ぶ内容を大きく4つに分けてご紹介した上で、志望大学・志望学部を検討するにあたってチェックするべきポイントを解説します。大学で海に関して学びたいと考えている高校生や既卒生の参考になれば幸いです。海洋系学部で学ぶ内容は多岐に渡る海洋系学部は、主に「海洋学」を中心に学びを深める学部です。「海洋学」とはその名の通り海洋を研究する学問であり、海の動きのしくみや、海に生息する生物についてのほか、海底火山やプレートを扱う地球科学としての観点や、大学によっては洋上風力発電や海底資源採掘方法のように海をいかにして活用していくかといった観点で研究に取り組んでいる場合もあります。卒業後の進路は大学や学部によって様々ですが、水産会社や水族館職員、海運会社、海洋学研究者のように、海と密接に関わる職種が多い傾向にあります。以下に、研究内容・難易度・大学卒業後の進路先などを比較しながら、様々な大学の海洋系学部についてご紹介します。なお、本記事内でご紹介している大学は一例です。記載の大学以外にも類似の学部・学科を設けている大学は複数ありますので、興味のある方は調べてみてください。(参考:海洋学を学べる大学|日本海洋学会)海洋系学部を4タイプに分類すると海洋系学部で扱う主な内容をわかりやすく理解するために、スタディカルテLabでは大きく4つ「生物型」「地学型」「社会科学型」「航海型」に分類しました。自分の興味に合わせて、どのタイプに進みたいかを考えてみましょう。(具体的な研究内容は、各学部・学科や研究室によって、さらに細かく分かれていきます。)① 生物型生物型の学部では、主に海洋における生物そのものや生態系システム、および、それらと人間との関係性についての理解を深めます。具体的には、海洋生物の遺伝子・細胞・個体といったミクロレベルのものから、生態系の循環といったマクロレベルのものまで取り扱います。これらを応用して、持続可能な漁獲技術や養殖技術の方法についても積極的に研究が進められています。多くの大学で、実際に生き物を観察したり触れたりする実習が設けられています。卒業後の就職先としては、水産庁のような行政・研究機関や、水族館、環境アセスメント会社などがあります。▼ 生物型に分類される大学例東北大学 農学部 生物生産科学科 海洋生物科学コース北海道大学 水産学部 海洋生物科学科・増殖生命科学科東京海洋大学 海洋生命学部 海洋生物資源学科・食品生産科学科近畿大学 農学部 水産学科② 地学型地学型の学部では、主に海底鉱物やエネルギー資源の開拓に求められる技術や、開発がもたらす海洋環境への影響とその計測方法などについて理解を深めます。また、大学によっては、波力発電・洋上風力発電のような電気エネルギーと関連させた分野を学べる場合もあります。具体的には、レアメタルの加工、海水の流れ、深海資源の採取といったものが挙げられます。扱う内容の性質上、フィールドワークが頻繁におこなわれる傾向にあり、学内だけでなく学外でも様々な学びを得られるでしょう。卒業後の就職先としては、海洋系国際機関や資源・地質系企業、環境アセスメント企業などがあります。▼ 地学型に分類される大学例東京海洋大学 海洋資源環境学部北海道大学 水産学部 海洋資源科学科長崎大学 水産学部 海洋環境科学コース③ 社会科学型社会科学型の学部では、主に海洋に関係する法律・政治・経済・文化についての理解を深めます。具体的には、海洋分野における人・物資・金融の動きや、国際法、人と海の関わりの歴史などについて専攻できます。港湾政策や物流政策といったユニークな分野の研究室もあるので、高い専門性を得ることができるでしょう。また、社会科学型は文系受験が可能な学部も多くあります(例:神戸大学 海洋政策科学部)。文系受験で大学に入学した場合も、理系の一般教養科目を履修することもできるので、文理問わず幅広い知識を習得できるでしょう。卒業後の就職先としては、貿易会社や食品メーカー、シンクタンク、官公庁などがあります。▼ 社会科学型に分類される大学例神戸大学 海洋政策科学部 海洋ガバナンス領域東京海洋大学 海洋生命科学部 海洋政策文化学科④ 航海型航海型の学部では、航海をおこなう上で必要な船舶管理や海事工学といった実践的な技術の習得が可能です。具体的には、船体構造理論、レーダ・GPS情報処理、気象・海象のようなものが挙げられ、他の海洋系学部と比べて実学的な要素が多く含まれています。長期間の乗船実習を通して海技士などを目指す学生も多い学部です。卒業後の就職先としては、海運業や製造業、情報産業などがあります。▼ 航海型に分類される大学例神戸大学 海洋政策科学部 海技ライセンスコース東海大学 海洋学部 海洋理工学科 航海学専攻東京海洋大学 海洋工学部 海事システム工学科志望校選びは「入試難易度」と「卒業後の進路」をチェックここまで、学部・学科別に、専攻できる内容や進路についてご紹介しました。学ぶ内容はもちろんのこと、入試難易度もまた、大学や学部・学科によって異なります。また、理系学部を選ぶ際は、大学院への進学率もひとつの重要な指標です。海洋系に関わらず多くの理系分野では、大学卒業後に大学院へ進学する割合が多い傾向にありますが、大学や学部・学科によっては大学(学士)卒業後に就職の道を進む割合が高い場合もあるので、よく確認しておきましょう。下図(※)は、代表的な海洋系学部の入試難易度(偏差値)と卒業後の進路(大学院進学 or 就職)の割合をおおまかに整理したものです。東北大学 農学部(ただし、海洋系以外の学科も含む)、北海道大学 水産学部、東京海洋大学 海洋資源環境学部・海洋生命学部の4つは、大学院への進学率が比較的高くなっています。志望校を検討する際の参考にしてみてください。※ 偏差値は大学受験パスナビ(旺文社)、進学率は各大学のWebサイトやパンフレットを参照の上、スタディカルテLabにて作成。専攻や進路も、受験勉強も、情報収集をぬかりなく以上のように、ひとことに「海洋系学部」といっても、大学や学部・学科によって偏差値や扱う専門分野、大学卒業後の進路などが様々であることが確認できました。大学入学後にどんな分野を専攻したいか、卒業後はどんな進路に進みたいか、などを考えながら、志望校を絞り込んでいけるといいですね。もし余力があれば、教授の考え方や、どんなテーマで論文が書かれているか、研究室の様子なども調べてみると良いでしょう。オープンキャンパスなどの機会に講義や話を聞けることもありますので、興味がある大学については積極的に情報収集することをおすすめします。志望校を決めた後は、目指す大学・学部の入試傾向に応じた対策に取り組むことが必要です。とはいえ、忙しい中、自分ひとりで入試傾向や大学情報をリサーチするには時間がかかります。また、インターネット上の情報は、その確かさにも注意が必要です。そのような時は、大学受験に精通しているプロに相談することもおすすめです。スタディカルテLabでは、丁寧なヒアリングをもとに、ひとりひとりの学習状況に合わせて、学習計画の立て方や勉強の進め方などをアドバイスしています。もちろん、「A大学とB大学どちらを受験するか迷っている」というような志望校選びや進路のご相談も承ります。勉強や受験に関するお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度スタディカルテLabにご相談ください。毎週最大5名様まで、30分の無料学習相談を受付中です。▼ 無料学習相談について、詳細はこちらからまた、スタディカルテLabは現在、新規受講生を募集しています。「苦手科目を克服したい」「志望校に特化した対策で効率的に学習したい」「オンラインでの受験勉強を考えている」という方は、ぜひ一度、体験授業を受講してみてくださいね。▼ 体験授業のお申し込みはこちらから