センター試験から共通テストに切り替わり、3年目を迎えた2023年度の入試。出題傾向を調べたり、実際に問題を解いたりして、次年度の入試に備えている方もいるのではないでしょうか。今回は【日本史】にフォーカスして、「2023年度の共通テストはどうだったか」「今後はどのような対策が必要か」を、矢崎聖講師に伺いました。難関大を目指している方はもちろん、今後共通テストで日本史受験を選択する予定の方は、ぜひ参考にしてみてください。なお、2025年度以降の共通テストについては、「歴史総合・日本史探究」「歴史総合・世界史探究」のように新しい科目となります。「歴史総合」の共通テストに関しては、こちらの記事もご参考ください。▶︎ 新科目「歴史総合」で、共通テストはこう変わる —ポイントは近現代史—▶︎ 矢崎聖講師のプロフィールはこちら共通テスト日本史の特徴とは?共通テストの日本史は、センター試験と比べてどのような特徴があるのでしょうか?大きく3つのポイントについて解説します。① 設問や選択肢の趣旨をしっかり読み取れるかどうかがカギを握る共通テストとセンター試験との一番の大きな違いは、知識だけではなく、複数の情報を統合して考察する力が求められているという点です。共通テストでは、以下のような特徴がみられます。古文で書かれている史料からの読み取りが多いグラフ、地図、写真、年表などの資料も重要リード文や注釈にヒントが書かれていることもしたがって、設問をしっかり読み取り、グラフや地図、リード文などから得られる複数の情報を組み合わせて問題を解く必要があります。現代文や古文など、様々な文体から情報を得る力も必要になります。センター試験のように、1問1答で暗記するような知識だけでは、正解にたどり着けない場合があるでしょう。設問や選択肢の趣旨をしっかり読み取れるかどうか、複数情報を統合して考えられるかどうかがカギを握ります。② マクロな視点で因果関係を掴むことが重要センター試験と同じように、共通テストでも年代の並び替え問題は出題されています。ただ、センター試験では「事柄と年代を覚えること」が正解にたどり着く最短ルートでしたが、共通テストでは「マクロな視点で歴史の流れを把握すること」が重要になってきています。もちろん、年代を覚えることもある程度は必要ですが、歴史的事柄とその前後の因果関係を押さえて、背景→内容→結果という流れを意識して学習することがとても大切です。(記事の後半で、2023年度に出題された並び替え問題を考察しています。あわせて参考にしてください。)③ 外交史の出題が多め 横のつながりが問われる共通テストでは外交史に絡んだ問題が多く出題されています。これは、2022年度から、世界史と日本史を横断して学ぶ「歴史総合」という新しい科目が高校で必修化されたことよる影響と考えられます。特に、戦後史が多く出題される傾向にあり、「歴史的概念を現代的課題に応用するにはどうすべきか」といった視点を含む問題もみられます。年代の縦軸だけで出来事を捉えるのではなく、外国との関わりや人々が受けた影響といった横のつながりを意識しながら学習することが大切です。過去3年の出題傾向これまでの共通テスト日本史を分析すると、次のような傾向がみられました。共通テスト日本史 時代別出題数 ※各年度 全32問原始・古代中世近世近現代時代融合2021年度 第1日程6751412021年度 第2日程6651222022年度6661222023年度666122出題内容を時代ごとに見ると、近世(江戸時代)以降の問題が多く占めています。つまり、江戸時代より後の内容を特に重点的に対策しておく必要があることが分かりますね。原始・古代から順に勉強を進めている場合、入試までに時間が足りなくなって近世以降の勉強が手薄になってしまうのは危険です。過去問傾向をふまえて、計画的に対策を進めていきましょう。共通テスト日本史 内容別出題数 ※各年度 全32問読み取り型知識型併用型2021年度 第1日程71882021年度 第2日程52252022年度81592023年度8168また、読み取り型の問題が約半数を占めています。2023年度は、読み取り型8問+併用型8問の、合わせて16問/32問が読み取り系の問題でした。今後もこの傾向は続いていくと予想されます。2023年度の共通テスト日本史を振り返る2023年度の共通テスト日本史Bの平均は59.75点と、2022年度の平均52.81点から上昇しました。しかし、直近約10年間のセンター試験の平均点のほとんどが60点を超えていることに比べると、センター試験に比べ全体の平均点は下がっているといえます。読み取り型の問題に受験生が慣れていないこと、またそれらを対策できる問題集がまだあまり出版されていないことなどが要因と考えられます。次に、共通テストの特徴が表れている、2023年度の日本史B問題をみてみましょう。問1:史料1〜3を読み取り、正しいものを選ぶ問題史料は、「日本書紀」や「続日本紀」からの出題で、いずれも古文で書かれています。2022年度に続き、2023年度も古文で書かれた史料がいくつか登場しました。知識を使ってというよりも、史料から読み取れることをもとに該当する選択肢を選べるかがカギになります。問2:外交史がテーマの並び替え問題古いものから年代順に並び替える問題ですが、1つ1つの年代を覚えていなくても、マクロな視点で捉えることで解けるタイプの問題です。与えられた文章から以下のポイントが分かれば、正解が導けます。Ⅰ. 「元への服属」→鎌倉時代Ⅱ. 「天龍寺の造営」→室町時代Ⅲ. 「琉球王国」→教科書でだいたいどのあたりに出てくるか(日明貿易のすぐ後に登場)出来事の年号を覚えるだけではなく、大きな流れを意識して学習していると、正解にたどり着きやすくなりますね。問3:地図や史料から判断する正誤問題本文を読んで、文章の中身から解けば答えが導き出せますが、知識だけで解こうとするとなかなか解けません。苦戦した受験生も多かったのではないでしょうか。各史料と、与えられたa〜dの文章から読み取れることをもとに正誤判断することがポイントです。今後に向けて、共通テスト日本史はどう対策する?過去3回の共通テストや、2023年度の出題状況をふまえ、今後はどのような対策をすればいいのでしょうか?それぞれの学習状況によって必要な対策は異なりますが、以下2つを意識して今後の学習を進めることをおすすめします。① 教科書に出てくる資料にも目を向ける写真やグラフなど、教科書から多くの資料が出ています。本文以外の写真やグラフと、その周囲の解説やコラムなども熟読しておきましょう。日頃から写真・グラフ・地図などを読んで慣れておくこと、それらの資料からどんな情報が得られるかを知っておくことが大切です。② 読み取り型の出題に慣れる本番では、見たことがない資料をその場で考察して、限られた時間内に判断することを求められる場合があります。読み取り型の問題を解いて、慣れておくことが良い練習になるでしょう。ただ、共通テスト自体の過去問もまだ少なく、読み取り型に対応した問題集があまり出ていないのも現状です。どのような問題を解くのが良いか迷う場合は、受験に精通している先生などの力を借りることをおすすめします。勉強に迷ったらスタディカルテLabに相談を!2023年度の共通テスト日本史と、今後の出題傾向について、参考になりましたでしょうか。「矢崎講師の授業を受けてみたい」「苦手科目を克服したい」「志望校に特化した対策で効率的に学習したい」「オンラインでの受験勉強を考えている」という方は、ぜひ一度、体験授業を受講してみてくださいね。▼ 体験授業のお申し込みはこちらからまた、スタディカルテLabでは、医学部・難関大受験に精通している学習プランナーが、丁寧なヒアリングをもとに、ひとりひとりの学習状況に合わせて、合格に必要な具体策を一緒に考えます。勉強や受験に関するお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度スタディカルテLabにご相談ください。毎週最大5名様まで、30分の無料学習相談を受付中です。▼ 無料学習相談について、詳細はこちらから