“海外の医学部” ってどのようなイメージでしょうか?「海外なんて、合格するのは相当難しくて、縁が無さそうだ」と思っていませんか?実は今、医師になるための魅力的な選択肢として、海外の国立医学部が注目を集めています。今回の記事ではハンガリー国立医学部に焦点を絞り、受験のリアルをお伝えします。この記事をきっかけに、海外の国立医学部が選択肢のひとつになれば幸いです。▶︎ ハンガリーの医学部を目指す受験生が最初に読むべき5つのポイントなぜハンガリーの国立医学部なのかさまざまな国や大学がある中で、なぜあえてハンガリーなのでしょうか?日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、ハンガリーは世界の中でも医学のレベルが高いと言われている国です。30年以上にわたり世界中から医学部英語プログラムに受け入れをおこなっていて、これまで多くの医師を輩出してきました。実は、ハンガリーの医学部卒業生は、他国の医学部に比べて大学卒業後に日本の医師国家試験をクリアしている実績が最も多いのです。他国の場合、アメリカやイギリスは学費が非常に高い、カナダやオーストリアで医学を学んだ場合は日本で活躍している医師が少ない、中国の医学部は中国語で勉強することに抵抗が大きい、など、国によって様々なハードルがあると言われています。そんな中、チェコやハンガリーなどの東欧諸国は積極的に海外から学生を受け入れていて、日本に窓口もあり、受け入れ体制が整っていることが大きなメリットであり、日本からの医学部留学生の大半はハンガリーに集中しています。また、従来の海外医学部生は、日本で医師国家試験を受けるために難度の高い「予備試験」を受けなければなりませんでしたが、ハンガリーの大学医学部は厚生労働省に認定されているので、予備試験が免除される、というメリットもあります。以上の理由から、海外の医学部を検討するときに最初にハンガリーの国立医学部を候補に入れておくと、イメージが湧きやすいと思います。続いては、ハンガリー国立医学部と日本の医学部受験を、学費と入試難易度の視点から比較してみましょう。卒業までの学費について学費の安さの順番に、国公立医学部→ハンガリー国立医学部→私立医学部です。近年は円安の影響で金額が上がってきていますが、それでも国内の私立医学部に比べると費用が抑えられます。① 国公立医学部(6年間の学費は350万円ほど)② ハンガリー医学部(6年間の学費は1,500〜1,800万円ほど。生活費込みで2,000〜2,800万円ほど)③ 私立医学部(6年間の学費だけで2,000〜5,000万円必要)入学難易度や入試の特徴について入試の難易度が易しい順番に、ハンガリー国立医学部→私立医学部→国公立医学部です。(もちろん、大学によって難易度や求められる学力は異なりますし、近年では日本の私立医学部も難易度が高くなっています。)ハンガリー国立医学部は、教科書レベルの基礎を押さえ、海外医学部特有の傾向を踏まえた学習ができれば、十分合格することが可能です。ハンガリー国立医学部の入試の1番の特徴は、受験科目に数学がないということです。予備コースは理科2科目で45分、出題難易度は共通テスト以下のレベルです。出題分野に偏りがあるので、特化した学習をすることで合格率を大きく高めることが可能です。また、英語は、TOEFL ITP450以上のスコア(本コースの場合は550以上のスコア)が求められます(英検準1級程度が目安)。特にリスニングには慣れが必要で、英語面接もあるため、日本の医学部受験とは異なる対策が必要となります。また、学費と入試難易度だけでなく、入試日程にも特徴があります。入試日程についてハンガリー国立大学医学部は、予備コースと本コースという2つのコースがあり、受験時にどちらかを選択する仕組みになっています。本コースは合格後に医学部へ直接進学するコースのことですが、予備コースは聞き慣れない方が多いのではないでしょうか。予備コースとは、「(本コースに直接入学するには)英語や生物、化学、物理の知識において不安のある学生が、準備のために入るコース」で、日本でいう大学附属高校の内部進学のようなものです。まず、現地の予備コースに半年または1年在籍し、改めて進級テストを受けてから本コースへ進級する流れになります。本コースへの進級テストの合格率は約90%ほどと言われています。また、予備コースは受験のタイミングも特徴的です。日本の大学入試は1月下旬〜2月下旬に受験が集中していますが、予備コースの試験は年間で9〜10回開催されており、一番早くて8月から受験できます。3ヶ月以上の期間を空ければ複数回の受験も可能です。受験のタイミングを自分で選ぶことができる(※)ので、早期に合格を勝ち取ることも可能です。学習の進捗も見極めながら受験のタイミングをしっかりと計画しましょう。※ 奨学金制度を利用する場合は、指定の審査日に受験する必要があります。海外医学部受験のデメリット良いところばかりに見える海外医学部受験ですが、もちろん、デメリットもあります。引き続きハンガリー国立医学部を事例に、海外医学部を選択するデメリットを2点ご紹介します。① それでも学費が高い日本の私立医学部と比較すると安いとはいえ、ハンガリー国立医学部の場合でも卒業までに2,500万円前後の費用が必要です。学費の捻出は決して簡単ではないでしょう。医学部進学のマネープランを考えるにあたり、奨学金の活用も検討してみてください。まず選択肢のひとつとして、ハンガリー政府奨学金があります。上位10%の成績が目安で、毎回定期的な見直しがされます。2014〜2020年度で、平均すると年間約20名が受給している実績があり、授業料の全額免除、生活費と住居費の補助に毎月3万円の支給、医療保険の付与などが得られます。首都のブダペストの場合、アパートに月5万円、生活費は月10万円ほどで暮らすことができ、地方のセゲド、ペーチ、デブレツェンの場合はさらに安くなるようです。日本でも、海外の医学部生に向けた財団や自治体による奨学金も出はじめていますので、チェックしてみましょう。② 卒業までに、留年や中退をしやすい日本の医学部受験と比較すると学力が低くても入学できる反面、どうしても途中で諦めてしまう学生の比率は増えてしまいます。ハンガリー国立医学部の場合は、入学者のうちストレートに卒業できるのは1/3、留年を経験するのは1/3、 中退も1/3で、卒業率は50%程度と言われています。(2013年卒業の1期生から2016年卒業の4期生のデータを集計すると、150人が入学、49人が卒業し、41人が日本の国家試験に合格しています。留年している学生も考慮したおよその卒業率の概算です)そのため、ハンガリー国立医学部の入学後も、日々の勉強をコツコツ頑張ることが求められます。特に、座学中心の前半3年間の留年率が高く、定期試験をすべて合格しないと進級できないため注意が必要です。(実技系が増えてくる後半3年間の留年は大きく減少するようです)留年や中退の大きな要因となっているのは、海外での慣れない生活に加え、英語での授業と、急に始まる化学・生物の専門基礎科目(例えば、生物学ではRh抗原や逆転写酵素、化学ではアミノ基と有機化合物の合成反応過程など)についていけなくなることが考えられます。もし、学力面・生活面で不安のある場合は、前述した予備コースからの入学がオススメです。予備コース・本コースのどちらを選択したとしても、最終的には英語での口頭試験が課され、医学を学ぶ上での化学・生物・物理の体系的な理解と、英語でのコミュニケーション力が必要となります。ハンガリー国立医学部への合格、そして、入学後に留年・中退をしないためには、このことを念頭に受験段階から継続的に学習に取り組むことが大切です。ハンガリー国立医学部に向いている人とはこれまでにお伝えした内容を踏まえると、次のような受験生が海外医学部に向いていると言えるでしょう。数学がどうしても苦手な人医師になるために、これからコツコツ頑張れる人学費面で私立医学部も視野に入れられる人将来的に海外、特にヨーロッパで医師として仕事をしたい人本記事が、医師になりたいと考えている人にとって選択肢を拡げるきっかけとなれば幸いです。本格的にハンガリー国立医学部の受験を考えている方は、こちらの記事もご参考ください。ハンガリー医科大学事務局(HMU)監修のもと、コース選択や大学入学までの流れ、試験対策についても解説しています。▶︎ ハンガリーの医学部を目指す受験生が最初に読むべき5つのポイントハンガリーの医学部に完全特化した対策で、最短距離で合格!スタディカルテLabでは、ハンガリー国立医学部の出題傾向から逆算した、合格に直結する過去問演習とオンライン個別指導が受けられます。◆ 特徴 1 ◆過去の出題内容を徹底分析したオリジナルテキストハンガリー国立医学部の入試傾向は特殊で、出題範囲に偏りがあります。スタディカルテLabでは、過去の出題内容を分析して作成したオリジナルテキストをご用意。傾向にピンポイントの内容を効率的に学ぶことができます。◆ 特徴 2 ◆トップクラスのプロ講師によるオンライン個別指導各科目の指導を担当するのは、ハンガリーの医学部受験に精通しているプロ講師陣。リアルタイムのやりとりで、わかりやすく高密度な指導が受けられます。◆ 特徴 3 ◆志望理由書作成や面接練習も全面的にサポート自分ひとりでは難しい志望理由書の作成と面接対策。ありのままの自分を伝えつつも好印象となるように、専属の学習プランナーが全面的にサポートします。当塾では現在、学習プランナーによる30分の無料学習相談を受付中。学習相談を受けられた方には、「本コース1次審査」「予備コース」の出題傾向まとめを無料プレゼントいたします。「日本の医学部受験と並行して対策を進めたい」「ハンガリーの医学部受験に向けてどんな対策をするべきか、もっと詳しい話を聞きたい」など、まずはお気軽にご相談ください。