本記事では、四国地方の国公立医学部である香川大学(医)・徳島大学(医)・高知大学(医)・愛媛大学(医)の、配点・科目・偏差値だけでは判断が難しい “出題傾向” を解説します。スタディカルテLabの教務チームが、過去問分析から見えてくる傾向と対策を比較しながら、志望校の入試傾向を掴むことの重要性と、合格に必要な学習計画・勉強法を組み立てるためのコツをお伝えします。国公立医学部への合格を目指して情報収集をしていると、「難問が解けないといけない」「基本問題だけできれば大丈夫」「速く正確に解けないと間に合わない」……などなど、様々な情報が出てきて、いったい何が正しいのだろうと混乱してしまっている人もいるかもしれません。なぜこんなにも多種多様な情報が出てくるのでしょうか。それは、そもそも入試の性質が大学によって様々であることに起因します。特にハイレベルな競争となる医学部受験では、求められる学力が大学ごとに大きく異なるため、どの情報が正しいかは目指す志望校の入試傾向によって違ってくるのです。配点・科目・偏差値は、あくまでも一次情報。国公立医学部への合格を目指すなら、国公立医学部について漠然と考えるのではなく、「あなたの志望校に」合格するには何が必要か、を考えていきましょう。四国地方の国公立医学部実際のところ、入試傾向は大学ごとにどのように異なっているのでしょうか?今回は四国地方の4大学、香川大学(医)・徳島大学(医)・高知大学(医)・愛媛大学(医) を事例に、大学入試の出題傾向の違いを解説していきます。香川大学 医学部医学科 傾向と対策● 共通テスト最低点: 486.1/700 (2022年度 大学HP) 69.4%● 個別学力試験最低点: 451/700 (2022年度 大学HP) 64.4%● 総合最低点: 1004.8/1400 (2022年度 大学HP) 71.7%● 教科配点: 画像参照 (2022年度 大学HP)● 再受験寛容度: 寛容 (2022年度 大学基本情報の入学者年齢別分布から判断)● 面接: 配点100点● 小論文負担: なし香川大学医学部医学科は共通テストと個別学力試験の配点比率に偏りはなく、両方で高得点を取る必要があります。また、国語・理科に配点が大きく割かれている点が特徴的です。一方で、英語と数学の共通テスト配点は半分に圧縮されるため、何かしらの理由で共通テストの英数で大きく失点してしまった場合でも、個別学力試験で挽回できる可能性が出てくるかもしれません。個別学力試験については、数学は医学部独自問題の出題が大多数を占め、難問ではないものの計算量の多い問題が多く見られます。数3については近年では式と曲線からの出題が目立ちます。英語では自由英作文が出題されています。どの教科も全体的に論述問題が多い印象です。▶︎ 香川大学医学部の入試傾向と対策について詳細はこちら徳島大学 医学部医学科 傾向と対策● 共通テスト最低点: 655.1/900 (2022年度 大学HP) 72.7%● 個別学力試験最低点: 186.0/400 (2022年度 大学HP) 46.5%● 総合最低点: 905.8/1300 (2022年度 大学HP) 69.6%● 教科配点: 画像参照 (2022年度 大学HP)● 再受験寛容度: 普通 (2022年度 大学基本情報の入学者年齢別分布から判断)● 面接: 配点不明● 小論文負担: なし徳島大学医学部医学科は共通テスト比率が全国で1番高く、共通テストの点数が合否に大きく影響します。(したがって、上記データで個別学力試験の最低点が低いのは、個別学力試験の問題が難しいからではなく、共通テストで高得点を取った受験生がその点数だけで逃げ切った可能性が高いと考えられます。)また、個別学力試験が英語・数学だけという数少ない大学のひとつです。英語では自由英作文が出題されています。個別学力試験で理科が課されないとはいえ、共通テストの傾斜配点が1.5倍されるので、共通テストでの失敗が命取りになります。一方で国語・社会の傾斜配点は低く、0.75倍となるのが特徴です。▶︎ 徳島大学医学部の入試傾向と対策について詳細はこちら高知大学 医学部医学科 傾向と対策● 共通テスト最低点: 629.2/900 (2022年度 大学HP) 69.9%● 個別学力試験最低点: 660.8/1000 (2022年度 大学HP) 66.0%● 総合最低点: 1356.7/1900 (2022年度 大学HP) 71.4%● 教科配点: 画像参照 (2022年度 大学HP)● 再受験寛容度: 普通 (2022年度 大学基本情報の入学者年齢別分布から判断)● 面接: 配点100点● 小論文負担: なし高知大学医学部医学科は、共通テストの傾斜配点はありません。配点全体をみると、英数理の配点比率が高く、国公立医学部でよく見られる典型的な配点です。英語は医学部固有問題であり、医系テーマが中心に出題されます。直近では自由英作文は出題されていませんが、英文に英語で答える問題が出題されています。独特な出題形式であるため、きちんとした対策が必要です。また、数学は標準的な難易度で、誘導にきちんと乗れるかが問われる問題が多く、実力差が出やすい傾向にあります。理科は学部共通問題ですが与えられる時間が異なり、他学部の受験生は1科目90分で解く問題を、医学部受験生は2科目120分で解くように設定されています。速く正確に解ける処理力が必要です。▶︎ 高知大学医学部の入試傾向と対策について詳細はこちら愛媛大学 医学部医学科 傾向と対策● 共通テスト最低点: 307.20/450 (2022年度 大学HP) 68.2%● 個別学力試験最低点: 506.33/700 (2022年度 大学HP) 72.2%● 総合最低点: 862.53/1150 (2022年度 大学HP) 75.0%● 教科配点: 画像参照 (2022年度 大学HP)● 再受験寛容度: 普通 (2022年度 大学基本情報の入学者年齢別分布から判断)● 面接: 配点100点● 小論文: あり。総合問題として出題。愛媛大学医学部医学科は、共通テストと個別学力試験の配点比率を比較すると、個別学力試験の配点がやや高い構成です。したがって、共通テストでの多少の失敗は個別学力試験で挽回できる可能性があります。ただし、個別学力試験は全体的に解きやすい問題であり、基本的に共通テストでも個別学力試験でも高得点を取ることを要求されます。最大の特徴は、英語と小論文が融合したような “総合問題” です。共通テストのリスニングにほとんど配点がないことも含め、英語対策は特殊になります。理科は100分2科目を解かなければならないため、速く正確に解ける処理力が必要です。なお、生物は選択できません。▶︎ 愛媛大学医学部の入試傾向と対策について詳細はこちら四国地方4大学の傾向比較香川大学・徳島大学・高知大学・愛媛大学の医学部医学科について、入試データと概要分析をご紹介しました。各大学の共通点として、英語・数学・理科の配点比率が高いことがわかります。医学部医学科を受験するにあたっては、まずはこれら主要科目をどれだけ得意科目にできるかが重要です。次に、各大学を比較して違いを見てみましょう。共通テストの配点比率に注目すると、徳島大学は共通テストで失敗した場合の影響が大きく、香川大学は国語・社会の共通テスト配点が大きいことが特徴といえます。合格最低点に注目すると、愛媛大は共通テストでも個別学力試験でも高得点が求められますが、個別学力試験での逆転ができる可能性もある大学です。一方で徳島大は、共通テストで高得点が取れていれば、逃げ切れる可能性が高いといえるでしょう。また、教科別の比較からも違いが見えてきます。個別学力試験の理科については、香川大学はどちらかというと論述対策が重要であることに対して、愛媛大学や高知大学は時間内に早く解くトレーニングが重要になってきます。個別学力試験の英語については、高知大学は医学部固有問題であり医系英単語などの対策が必要であること、愛媛大学は小論文と英語が融合したような総合問題が課されていることが特徴的です。以上のように、四国地方4大学の入試データを比較すると、配点や傾向が異なっていることが分かります。志望校の入試傾向を掴んだ上で、優先順位をつけて学習に取り組むことが合格への第一歩です。国公立医学部を志望している方は、まずは自分の志望校について入試傾向を分析することをおすすめします。志望校分析と現時点での学力との差分から、優先順位を考える学習計画を立てるには、前述のように志望校の出題傾向を把握することはもちろんのこと、現時点での自分の学力も把握する必要があります。目標と現在地点との差分を確認することで、目標点に到達するにはどのような勉強が必要なのかを考えることができます。迷路に例えるならば、ゴール地点(=志望校の入試傾向)とスタート地点(=現時点の学力)との両側から道筋を立てていくようなイメージです。例えば、香川大学の医学部医学科を志望している人の場合、入試傾向と自分の現時点での学力を比べて、以下のように方針を考えることができるでしょう。「香川大学(医)は共通テストで国語の配点比率が高い。自分は、現代文は比較的解けているけど古文漢文は全然得点できていない。秋以降は古文漢文に多く時間を割いて、集中的に強化しよう。」「論述は、学校の先生に添削してもらおう。」「数3は、秋までに標準レベルは解けるように取り組もう。」志望校分析と自分の現状分析の精度を上げていくことで、学習内容の優先順位をつけられるようになります。精度の高い分析をおこない、自分に本当に必要な学習を見極め、そこに集中すること。医学部合格の鍵は、ここにあります。あなたの医学部受験に “参謀”を。今回の記事では、四国の4大学を事例に、志望校の入試傾向分析と、自分の現状分析から、学習の優先順位をつけることの重要性についてお伝えしました。今回お伝えした志望校分析や考え方は、ほんの一部分です。適切な学習計画を立てて受験勉強を進めていくためには、志望校分析だけでなく、個別に状態をよく確認した上で戦略を組み立てていく必要があります。スタディカルテLabでは現在、30分のオンライン学習相談を無料で受付中です。「今使っている教材は志望校の出題傾向と相性がいいかどうか?」「共通テスト・個別学力試験で、各教科何点を目指せばいい?」「どのように優先順位をつければいい?」「どんな時間配分で勉強すべき?」「どのように過去問演習を進めればいい?」などなど、気になっていることをご相談ください。専門の学習プランナーが、あなたの現状を深くヒアリングした上で、志望校選定・学習計画・優先順位などについてアドバイスします。学習相談希望者は、スタディカルテLabのLINE公式アカウントを友だち登録し、メッセージでご相談内容をお送りください。順次お返事いたします。