文系・理系に関わらず、大学受験において重要な科目となっている英語。中でも英語の長文読解は、近年ますますその重要性が高まってきています。英語で書かれた長い文章を読むには、英単語や英文法の知識はもちろんのこと、文章と文章のつながりや文脈を理解する力が求められ、一朝一夕に習得できるものではありません。それゆえに長文読解に苦手意識を持っている人も多いのではないでしょうか?「何度読んでも内容が頭に入ってこなくて、何度も繰り返して読んでしまう」「なんとなくで読んでいる気がして、長文読解の勉強方法に手応えがない」多くの受験生からこのような悩みをよく聞きます。本記事では、英語の指導を専門とするプロ講師たちの意見交換から見えてきた英語長文読解の勉強法と、教材の使用方法・注意点をご紹介します。医学部・難関大への豊富な合格実績を持つ講師たちの知見を、ぜひ参考にしてみてくださいね。▲ スタディカルテLab 講師座談会(文系回)の様子英語長文読解の重要性が増している長文読解は英語の入試科目において、重要な位置付けにあります。大学によって入試傾向は様々ではありますが、大学入試全体として、英語の入試問題のおよそ7割を長文読解が占めていると言われています。さらに近年は、出題される英文量も増加傾向に。大学個別試験ではもちろんのこと、多くの受験生が受ける共通テストでも英文読解力が必要不可欠です。センター試験と比較すると、共通テストでは単語・文法問題が廃止され、基本的には長文問題のみという構成に変わりました。共通テストの英語長文では、問題文や設問を含めると、総語数が5,500〜6,000語程度となっており、これまで以上に読解力・速解力が求められていると言えます。英語長文読解に取り組む前にやるべきことでは、英語の長文読解ができるようになるためには、どのような勉強をするべきなのでしょうか?英語の基礎力が整っていないままやみくもに長文を読んでも、なかなか読めるようにはなりません。長文読解に取り組む前に、まずは単語や文法などの英語の基礎的な知識を押さえておく必要があります。ここからは、①英単語 ②英熟語 ③英文法の勉強法について解説していきます。① 英単語を覚える英語の勉強において、英単語の習得は基本です。しかしながら、英単語を覚えようと頑張っても記憶がなかなか定着しないと悩む方も多いと思います。英単語はくり返し使わないと、どんどん忘れてしまうものです。短期間で何度も反復したり、フレーズで覚えたり、頭に定着させる工夫をして、単語を見たらその意味を瞬時に言える状態を目指しましょう。以下に、スタディカルテLabの英語講師たちがおすすめする単語帳と、その単語帳を用いた英単語の勉強法をご紹介します。※ 以下に紹介する教材は、様々な教材の一部です。また、学力状況・志望校の特性・受験までの残り期間などによって、推奨される教材や活用方法は変わってくることを念頭においた上でご参考ください。システム英単語(シス単)覚えるべきフレーズ「ミニマルフレーズ」が見開きでまとまっている単語帳です。コロケーションを意識した単語の学習が可能で、短期間でたくさんの単語を覚えることができます。見出し語だけを見て、対応するミニマルフレーズを引き出せるような練習がおすすめです。難関校を目指す生徒であれば、高3に入る前までにこの1冊を仕上げておきたいですね。たまに、英語・日本語の1対1対応だけを暗記しようとしている生徒がいますが、それだけでは学習効果は薄れてしまいます。赤シートを用いて学習するのではなく、見出し語だけを見てミニマルフレーズを言う練習や、日本語を見て英語を言う練習をすると効果的です。(木野内 雄太 講師)鉄緑会東大英単語熟語 鉄壁鉄壁は良い教材ですが、消化不良を起こしている生徒が多い印象です。ざっくり言うと偏差値70を超えているような生徒向けですかね。システム英単語やターゲット1900など基本の単語帳が完璧で、東大や難関校を目指している人の2冊目として活用する形が適しているかもしれません。単なる暗記というよりも、単語の語源を知りたい、英作文などで注意するべき単語の細かい使い方を知りたいなど、新しい知識を学ぶことができるので、読み物としておすすめします。(野中 久光 講師)② 英熟語は英単語と同時並行で英単語に加えて押さえておきたいのが、英熟語。大学受験で問われる英熟語は、動詞の語法を覚えないといけないものや、イディオムで丸暗記しないといけないものなど、様々な形式のものが混在しています。熟語帳を適切に活用し、効率的に勉強していきましょう。システム英熟語英熟語は、決まり文句と、動詞と前置詞、副詞などのセットで覚えるべきものがあります。システム英熟語は動詞と前置詞の組み合わせをイメージで理解できるため、暗記しやすいのが特徴です。多くの受験生は単語の勉強中心で、熟語の勉強が後回しになってしまっています。しかし、これが個人的には非常にもったいないと思っています。英熟語は難しいものは少なく、得点源になりやすい上、特に動詞の語法などは長文読解を読む上でも非常に重要です。単語帳と同時並行でも良いので、できる限り早いタイミングから熟語・イディオムにも取り組んで欲しいです。難関校を目指すなら高3に入るまでには仕上げたいですね。(好永 大祐 講師)③ “読むための英文法” を優先的に押さえる英語の長文を読めるようになるためには、単語・熟語を覚えることに加え、基礎的な英文法を身につけておく必要があります。ただし、限られた受験勉強の時間の中で、優先順位を間違えないように注意しましょう。英文法の勉強で細かく学ぶことと、長文読解やスピーキングで使う知識は、実はかなりかけ離れています。「英語長文が読めること」を目的とする場合、英文法の問題集を隅から隅まで完璧にするよりも、英語長文読解に必要最低限の文法をマスターし、あとは読解の練習に時間を使うことが重要です。英文法を学ぼうと、初めからVintageやNext Stageなどの4択問題集に取り組むと、「量が多くて途中で挫折してしまった」「最後までやってみたけど最初の方を忘れてしまった」「文法ばかり勉強していて、長文読解の練習がおろそかになってしまった」という状態になりかねません。まずは基礎的な文法を習得し、その後、長文読解に取り組む中で分からなかったところについてピンポイントで文法書を確認しキャッチアップしていくと効率的・効果的でしょう。文法問題のために文法を勉強するのではなく、英語を使っている中で文法を覚えていけると良いですね。目安としては、共通テストで7割程度を安定して取れるようになるところまでは、長文読解の練習に注力しましょう。以下、“読むための英文法” を効率良く学習したい方におすすめの教材をご紹介します。世界一わかりやすい 英文読解の特別講座高1〜高2の英文法をひととおり学び終えた頃、難しい長文読解に取り組む前段階として使いやすい教材です。重要なポイントが厳選されていて、1ヶ月程度で終わらせられるかと思います。まずは問題を見て、自分で訳してみた上で解説をよく読みましょう。解説はとても噛み砕いて書かれていますので、自学自習でも進めていきやすいかと思います。解説を読んで、もし文法の理解ができていないなと思ったら、一旦総合英語の教材(Evergreen等)に戻って文法を復習するといいでしょう。特別講座を1冊やり込むだけでもGMARCHレベルの英文解釈まではおおむねカバーできると思いますが、さらに上の難関大を目指す場合はもう1冊、英文熟考や透視図、ポレポレなどを使ってステップアップしたいですね。(好永 大祐 講師)大学受験のための英文熟考 上・下 (熟考シリーズ)入試で長めの和訳問題や難しめの長文読解が求められるような、難関国公立大志望の方に取り組んでもらいたい参考書です。特に、これから精読に本腰を入れて取り組むという方に合っていると思います。スモールステップの問題構成で、「なぜこのように訳さないといけないか」について丁寧に解説されているため、自習用教材として使いやすいと思います。『英文熟考』を用いて文の分析するときの基本的な着眼点を身につけたら、『英文読解の透視図』や『ポレポレ英文読解プロセス50』のような、英文解釈をトレーニングするための発展的な教材にも進みやすくなるのではないでしょうか。(森本 郁哉 講師)英文読解の透視図英文解釈をする上で大変優れた参考書です。ただし受験生、特に現役生にとっては、受験は時間との戦いでもあるため、早稲田・慶應などの難関私立大学、国公立2次試験の「英文和訳対策」として利用することを勧めています。各チャレンジ問題にそのまま挑戦し、先に訳例と解説を見る。解説の中で見落としていた部分があればそこの説明だけを熟読する。できていれば次の問題に進む。自主学習で正しい訳し方を知ることで自然と入試の採点基準を満たす解答が身についていきます。(岩脇 広行 講師)英語長文読解のトレーニングにおすすめの問題集英単語と英文法を学習し、英語長文を読む準備ができたら、いよいよ長文読解の対策に入りましょう。長文読解の問題集も、様々なものが出版されています。選び方のコツと、おすすめの問題集をご紹介します。長文読解問題集の選定基準・使い始めるタイミング長文読解の問題集を選ぶ際には、問題の難易度を考慮することはもちろん、解説が多いものを選ぶようにしましょう。英文を読むときに気をつけるべきことや、構文の解説が載っているものなど、復習しやすい教材を選ぶことをおすすめします。また、長文読解の問題集には、“英文解釈がある程度正確にできるようになった後” のタイミングで着手することが望ましいでしょう。英文解釈が不安定なまま速読演習に取り組むと、英語の読み方が雑になり、文章の内容や要点を正しく理解することに悪影響が出てきてしまう可能性があります。以下に、スタディカルテLabの英語講師たちがおすすめする問題集を一部ご紹介します。自分に合った教材選びの参考にしてみてください。可能であれば、実際に書店で中身を確認しながら選ぶことをおすすめします。英文読解法 高校初級用―文のつながりをとらえる (集中2週間完成)「初級用」「中級用」「上級用」の3冊がありますが、「初級用」と「中級用」に取り組むだけでも英文読解のポイントを総ざらいすることが可能です。「言い換え」「追加・列挙」「対比」など、長文を読むときの基本を短い英文の中で確認することができ、高校1~2年生で英文読解の勉強を始めたばかりの人にもぜひ使ってほしい1冊です。(好永 大祐 講師)大学入試 英語長文プラス 速読トレーニング問題集問題数は少ないですが、解説がかなり詳しく書いてあるため、自学自習におすすめです。構文の解説もされていて、問題集自体が比較的薄いので、取り組みやすい1冊になっています。高3生で勉強時間がなかなか足りない方にも良いかと思います。(野中 久光 講師)やっておきたい英語長文(300、500、700、1000)受験勉強を始める時期や志望校によって、どれから始めるかについては個別相談が必要ですが、英語長文に慣れるという意味では非常に使いやすい教材です。問題と解答解説が別冊になっているので、演習後に手際よく復習ができます。英文量に対して設問数が比較的少ないため、速読対策としても利用可能です。30分ほどの隙間時間があれば問題は解けるので、日々の学習にも組み込みやすい問題集です。(岩脇 広行 講師)上智大の英語上智大学を受ける受けないに関わらず、英語長文を読んでいく上で大切な単語や語彙に関する知識を身に付けたい人向けの1冊です。この教材の特筆すべき点は、長文の中に出てきた単語・熟語・表現などについて、単にその意味だけでなく、どんな文脈や場面、役割で使われる語彙なのかが、体系的に解説されていることです。この充実した解説により、読解をするときの頭の働かせ方を身につけることができます。実践的な問題演習と、長文読解に必要な知識の強化を同時にできる効率の良さが魅力なんです。特に難関私大志望の、ある程度英語が得意な生徒向けかと思います。受験直前期などに取り組んでみることをおすすめします。(好永 大祐 講師)外してはいけない 英語長文読解を勉強する時のポイント自分に合う長文読解の教材を見つけたら、その教材をしっかりと使いこなし、主に次の4点を意識しながら学習を進めることが大切です。これらを意識せずになんとなくで長文を読んでいても、受験に通用する長文読解力は身につきにくいので、注意して取り組みましょう。① 長文を読む時には英文に書き込もう英語の長文読解が苦手という生徒は、解いた後の長文が真っ白な傾向にあります。長文を読む際に、本文に何も線を引かず、どこが目の付け所なのかわからないまま読んでいる人は、文章の内容が掴めず何度も返り読みしてしまっていることも多いです。何でもいいから印をつけるというわけではなく、重要な単語には丸を付け、筆者の主張の部分には線を引くなど、メリハリをつけるように読むことを心がけましょう。② 文と文のつながりを意識しながら解こう英語長文を読み慣れていない場合、単語の意味だけを拾いながら雰囲気で英文を読み進んでいる方も多いのではないでしょうか?このような人は、文章が読めているようで実は表面的な部分しか掴めていない、という落とし穴にハマってしまう可能性があります。「itやthatなどの指示語が何を指しているのかに注意する」「前後の因果関係を考える」「筆者の主張と根拠のつながりを理解する」など、文と文とのつながりを整理し、文脈を捉えながら読んでいく必要があります。最初のうちは時間をかけてもいいので、丁寧に英語を読む習慣をつけましょう。③ 緩急をつけて速く読み解こう長文を読むのに時間がかかりすぎるという人は、全ての文章を一言一句理解しようとしたり、同じ文章を何度も読み返したりしていないでしょうか?時間内に速く長文を読み解く秘訣は、"緩急" です。重要でない / 読みやすい文章はスピードを上げて読み、重要である / 難しい文章はじっくり読むという、緩急をつけた読み方を身につけることが重要です。1語ずつ意味を拾うのではなく、 数語のまとまりを見て素早く意味が捉えられる状態を目指しましょう。④ 復習時に文構造を意識しながら音読しよう英語長文読解の勉強は、復習が一番大切です。間違えた問題だけでなく、正解したけど自信がなかった問題も、きちんと解説を確認しましょう。英文の中で構文が取れなかったものなどは、一度立ち止まって、足りなかった単語や文法を確認し、文章全体を理解できるよう心がけましょう。解き直しが終わり、文章全体の構文を理解できたら、音読することをおすすめします。SVOCなどの文構造を意識しながら、意味のかたまりごとに英文を音読していくと、英語を前から読む習慣がつき、読解スピードも上がっていくでしょう。最終的には、共通テストレベルの英文であれば、1分あたり200語程度のスピードで読めるようになると理想的です。英語長文読解の勉強に迷ったら、学習相談を!ここまで、医学部・難関大受験に向けた英語長文の勉強方法について、スタディカルテLabのプロ講師のアドバイスをもとにご紹介してきました。本記事が、学習を見直す1つのきっかけになりましたら幸いです。ただし、あくまでも上記のアドバイスは、個々人の学習状況を踏まえてのものではありません。参考程度として捉えてもらえたらと思います。学力や理解度、何につまづいているのかは人によって異なるため、自分にとって最適な勉強法もまたそれぞれです。自分で解決することが難しい場合は、学校や塾の先生に相談してみるのもひとつの手。もし、英語に苦手意識があって、「勉強法が合っているのかわからない」「志望校に合格できるのか不安」と感じているのなら、スタディカルテLabの無料学習相談をご活用ください!スタディカルテLabでは、医学部・難関大受験に精通している学習プランナーが、大学受験や新年度の学習、志望校や進路に関するご相談を、無料でお受けしています。スタディカルテLabの公式LINEをご登録の上、LINEからお気軽にお声がけくださいね。▼ 無料学習相談について、詳細はこちらからまた、スタディカルテLabは現在、新規受講生を募集しています。「苦手科目を克服したい」「志望校に特化した対策で効率的に学習したい」「オンラインでの受験勉強を考えている」という方は、ぜひ体験授業を受講してみてください。スタディカルテLabには英語の指導を専門とする実力派講師が多数在籍しています。60分の体験授業が無料なので、ぜひ一度プロの授業をご体感ください!▼ 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