国内最大級の英語検定試験として、幅広い世代が受験している「英検」。この英検が、2024年度にリニューアルされたことをご存知でしょうか?新しい英検は、問題形式や出題内容が変わるほか、31年ぶりとなる新しい級の導入に向けて準備が進められています。本記事では、新形式の概要や変更点の解説とともに、入試で英検を利用できる大学についてもご紹介します。英検の取得を目指している高校生や、英検を利用した大学受験を検討している受験生の参考になれば幸いです。英検新形式の基本情報2024年度実施の試験からリニューアルされた英検。なぜこのタイミングでリニューアルがおこなわれたのか、新形式の目的と概要を解説します。英検(実用英語技能検定)とは?英検は、正式名称を「実用英語技能検定」といい、日本で幅広く受験されている英語外部試験のひとつです。英語力に合わせて5級から1級までを選択して受験できます。年に3回実施される「従来型」と、原則毎週土日に実施される「S-CBT」の2種類があります。従来型はこれまでの試験と同じく紙と鉛筆を使った試験ですが、S-CBTでは主にコンピュータを使用して試験をおこないます。S-CBTは1日で4技能が測定できるので、忙しい受験生におすすめです。また、同一検定期間内に同じ級をS-CBTで2回+従来型で1回(合計最大3回)、年間で最大9回まで受験可能となっているため、受験のチャンスを増やすことも可能です。ただし、1級に限ってはS-CBTでの受験ができません。英検は、受験受験料が4,700円(4級)〜12,500円(1級)となっており、他の資格試験と比較すると多少気軽に受験することができます。受験結果は、受験級の合否と英検CSEスコアで示されます。大学入試で英検の結果を使う場合、各級の合否ではなくCSEスコアが必要となることも多くあります。(参考:英検(実用英語技能検定)|公益財団法人 日本英語検定協会 )新形式の導入背景と目的英検の公式Webサイトによると、今回のリニューアルの目的は次の通りです。英検はこれまで、その時々の学習指導要領に表わされる英語能力観を踏まえた出題を目指してきました。現行学習指導要領の「外国語」では、複数の技能(領域)を統合した言語活動の充実を図ることが目指されています。また、知識や技能の習得だけでなく、コミュニケーションを行う目的や場面、状況等に応じた言語の運用を考える中で思考力、判断力、表現力等の育成も求められています。これらを踏まえ、できるだけ早いタイミングで、新たな英語能力観を反映した出題形式を取り入れてリニューアルする必要があると、英検協会として判断しました。(引用:2024年度 実用英語技能検定(英検) 問題形式リニューアル)上記で述べられているように、今回のリニューアルの背景には学習指導要領の改訂があります。現行の学習指導要領は2020年度以降に小学校から順に導入が進められ、高等学校については移行期間を経て、2022年度から全面実施となりました。2024年度は、2022年度に入学した高校生が高校3年生になる年度です。英検が2024年度というタイミングで新形式の導入に踏み切った理由は、2024年度が旧課程から新課程に完全に切り替わる節目の年であるからだと思われます。リニューアル対象となるのは3級以上の各級(1級、準1級、2級、準2級、3級)であり、以下の英語能力観を反映できる出題内容となる予定です。複数の技能(領域)を統合した言語活動の充実を図ること知識や技能の習得だけでなく、コミュニケーションを行う目的や場面、状況等に応じた言語の運用を考える中で思考力、判断力、表現力等を育成すること詳しい変更点や出題形式については、後ほどご紹介いたします。新形式はいつからスタートする?新形式の出題は、2024年度第1回検定から開始されます。英検(従来型)の2024年度第1回検定は、一次試験が6月2日(日)に実施されます。受験を検討している方は、それまでに新形式対策に取り組んでおきましょう。コンピュータを使った試験方式である「英検S-CBT」は、2024年5月実施分からリニューアルされています。また、新設級の「準2級プラス」については、従来型と英検S-CBTともに2025年度からのリニューアル開始を目指し、開発が進められています。新形式で英検はどう変わる?変更点まとめ2024〜2025年度、英検はどのように変わるのでしょうか?変更点と新設級「準2級プラス」について解説します。リニューアル後の出題形式新形式の英検では、出題内容と一部の試験時間がこれまでから変わります。以下の表に、リニューアル後の変更点を級ごとにまとめました。なお、合格基準スコア、CEFR算出範囲に変更はありません。級リーディングライティング試験時間1級41問→35問 ・大問1:短文の語句空所補充 →3問削除(単語問題)・大問3:長文の内容一致選択 →3問削除(設問No. 32-34)英作文問題の出題が1題から2題に増加既存の「意見論述」の出題に加え、「要約」問題を出題変更なし (100分)準1級41問→31問 ・大問1:短文の語句空所補充 →7問削除(単語問題)・大問3:長文の内容一致選択 →3問削除(設問No. 32-34)英作文問題の出題が1題から2題に増加既存の「意見論述」の出題に加え、「要約」問題を出題変更なし (90分)2級38問→31問 ・大問1:短文の語句空所補充 →3問削除(文法問題など)・大問3B:長文の内容一致選択 →4問削除(設問No. 30-33)英作文問題の出題が1題から2題に増加既存の「意見論述」の出題に加え、「要約」問題を出題変更なし (85分)準2級37問→29問・大問1:短文の語句空所補充→5問削除(熟語・文法問題など)・大問3B:長文の語句空所補充→3問削除(設問No. 28-30)英作文問題の出題を1題から2題に増加既存の「意見論述」の出題に加え、「Eメール」 問題を出題5分延長(75→80分)3級変更なし英作文問題の出題を1題から2題に増加既存の「意見論述」の出題に加え、「Eメール」 問題を出題15分延長(50→65分)4級変更なし変更なし変更なし上記のように、各級で英作文問題が1題から2題に増加し、要約問題やEメール問題が追加されます。その代わりに、3級と準2級では試験時間が延長、1級〜準2級ではリーディングの問題数が大幅に減少することとなり、時間配分に注意が必要です。また、スピーキング試験については準1級のみ変更点があり、受験者自身の意見を問う問題(No. 4)に話題導入文が追加されます。これまで出題されていた問題に対して、話題の提示の文章(「○○という話題をよく耳にしますが〜」というような、テーマを示す文章)が追加されるだけなので、答え方に大きな変更はありません。【2025年度新設】準2級プラス2025年度より、新設級である「準2級プラス」の開始が予定されています。準2級プラスは、英検の準2級と2級の中間級として設置され、2級合格へ向けた足掛かりとしての級となる見込みです。英検公式Webサイトによると、準2級プラスのCEFR算出範囲は「A2」〜「A1」、審査基準は「身近な話題であれば、社会生活に必要な英語を理解し、また使用することができる。」と示されています。公表されているサンプル問題を参照すると、準2級プラスは以下の内容となる予定です。ただし、今後変更される可能性もあるため、最新情報は英検公式の情報をご確認ください。級準2級試験時間筆記:85分リスニング:25分リーディング単語問題:17問長文空所補充:6問長文内容一致:8問ライティング英文要約:25〜35words英作文:50〜60wordsリスニング第一部(対話文):15問第二部(英文):15問スピーキング3パート構成・課題文をもとに自分の意見を述べるパート・三コマ漫画の起承転結を英語で述べるパート・試験担当者から聞かれる時事問題について自分の意見を述べるパート(参考:2025年度 準2級プラス(新設級)の紹介 )入試で英検を利用できる大学英検で一定のスコア以上を取得しておくと、大学受験で有利になることがあります。また、学部や入試形式によっては出願条件として英語資格の所持を課される場合もあるため、現在高校1年生や高校2年生で受験本番まで余裕がある場合は、英検を取得しておいて損はないでしょう。ここでは、一般選抜で英検を利用できる大学の一部をご紹介します。以下の大学以外にも、英検を使うと受験で有利になる大学は多いので、気になる大学の入試要項を確認してみてください。※ 2024年度の入試要項をもとに作成 (慶應義塾大学のみ2025年度入試予告を参照)大学受験に英検を利用するのも入試戦略のひとつ本記事では、英検のリニューアル概要や変更点、および、一般選抜で英検を利用できる大学についてご紹介しました。英検は多くの高校生が受験している英語資格試験であるため、英検を活用できる入試を設けている大学も少なくありません。あらかじめ高いスコアや級を獲得することができれば、受験をより有利に進めることができるでしょう。入試戦略のひとつとして、まずは英検の取得を目標にしてみることもひとつの手です。スタディカルテLabでは、丁寧なヒアリングをもとに、ひとりひとりの学習状況に合わせて、学習計画の立て方や勉強の進め方などをアドバイスしています。「英検準1級の対策は何をすれば良いのだろう」「英検の要約問題の対策方法がわからない」「志望校を一般選抜で受けるか、英検利用方式で受けるか迷っている」といった、勉強法や志望校選びのご相談も承ります。勉強や受験に関するお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度スタディカルテLabにご相談ください。毎週最大5名様まで、30分の無料学習相談を受付中です。▼ 無料学習相談について、詳細はこちらからまた、スタディカルテLabでは、60分の体験授業が無料です。英検対策に特化した授業も対応可能です。英検合格に向けて具体的に対策を進めていきたい方は、ぜひ一度、プロ講師によるハイクオリティな指導をご体験ください。▼ 体験授業のお申し込みはこちらから。お待ちしております!