共通テストを終えた国公立医学部志望の受験生にとって、気になる指標のひとつである足切りライン。本記事では、国公立医学部の足切り(2段階選抜)について、基準や実施状況を詳しく解説しています。医学部受験は、大学ごとの配点や出題傾向を正確に把握して自分に合った志望校を選定できるか、そして、自分の学力と志望校に合った適切な受験戦略を考えられるかが、合否を大きく左右します。本記事が、共通テストリサーチを踏まえて出願校選びに悩んでいる受験生・高校生の参考になれば幸いです。足切りラインとは?足切り(2段階選抜)とは、国公立大学の試験において、個別学力試験を実施する前に大学入学共通テストの成績などで第1段階選抜をおこない、その合格者のみに個別学力試験の受験資格を与えるという選抜の仕組みです。具体的な足切りラインは大学ごとに異なりますが、一般的には、競争が激しい大都市圏の大学ほど厳しいラインが設定される傾向にあります。足切りは正式には「2段階選抜」という名称ですが、本記事では、通称としてよく使われている「足切り」という表記に統一してご紹介します。また、「足切り」によく似た用語として、「共通テストボーダー」というものが存在します。共通テストにおけるボーダーラインとは、個別学力試験終了後の合格確率が50%前後の割合になる点数、または得点率のことを指します。国公立医学部の共通テストボーダーに関してはこちらの記事をご覧ください。▶︎ 【国公立大学医学部】共通テストの合格ボーダーランキング(2025年度入試最新版)それぞれの用語を簡単にまとめると、足切りラインとは個別学力試験に進むために最低限クリアしなければならない条件。ボーダーラインは、合格を目指すための基準(≒目標)となる得点ということになります。足切りラインが決まる2つの要素国公立医学部入試における足切りラインは、主に以下2つの要素によって決まります。志願者数と競争率:多くの大学では、募集人員に対して志願者数が〇〇倍を超えた時に足切りを実施するという形式が導入されています。この形式の大学を受験する場合は、当該年度の志願者数が足切りラインに大きな影響を与えます。共通テストの得点率:大学によっては、共通テストの得点で〇〇点以上という基準が設けられている場合があります。(大阪大学、京都大学、名古屋大学など)また、京都大学、大阪大学、横浜市立大学などのように、上記2つの指標を組み合わせたラインを設定している大学も存在します。例えば、入試要項に「750/1000点以上・約3倍」と記載されている場合は、まず共通テストで750点以上取っていることが第一条件であり、かつ、750点以上をクリアした受験生の中で募集人員の約3倍の人数の受験生が個別学力試験に進めることになります。国公立医学部一般選抜(前期日程)の足切りライン一覧以下に、主要な国公立医学部の一般選抜(前期日程)における「2025年度入試の足切り予告ライン」を示します。参考までに、2024年度入試での足切り予告も掲載しています。一部の大学では、共通テストの配点の変更などの影響により、足切り基準が前年から変更となっている場合もある点に注意してください。2025年度足切り(予告)2025年度募集人員(一般前期)2024年度入試志願者数 / 募集人員2024年度足切り(予告)北海道大学 医学部3.5倍85295 / 853.5倍札幌医科大学 医学部5倍75327 / 755倍旭川医科大学 医学部4倍程度40225 / 405倍程度弘前大学 医学部8倍70565 / 708倍東北大学 医学部約3.5倍78289 / 77約3.5倍秋田大学 医学部5倍45258 / 555倍山形大学 医学部約5倍60288 / 60約5倍福島県立医科大学 医学部約4倍45404 / 45約4倍筑波大学 医学群約2.5倍(地域枠では実施せず)44180 / 46約2.5倍(地域枠では実施せず)群馬大学 医学部3倍(一般枠で187名程度、地域医療枠で32名程度を合格者とする)65288 / 653倍(一般枠で189名程度、地域医療枠で24名程度を合格者とする)千葉大学 医学部3倍80311 / 823倍東京大学 理科三類約3倍97416 / 97約3倍東京科学大学 医学部約4倍69296 / 69約4倍横浜市立大学 医学部750/1000から約3倍70250 / 70750/1000から約3倍新潟大学 医学部4倍80367 / 804倍富山大学 医学部約5倍70222 / 70約5倍金沢大学 医学類3倍程度80326 / 823倍程度福井大学 医学部約5倍55262 / 55約5倍信州大学 医学部4倍85446 / 854倍岐阜大学 医学部約3倍55202 / 55約3倍浜松医科大学 医学部4倍69307 / 694倍名古屋大学 医学部650/950以上85254 / 85600/900以上名古屋市立大学 医学部600点満点中75%以上から約3倍60181 / 60550点満点中74%以上から約3倍三重大学 医学部5倍75599 / 755倍滋賀医科大学 医学部約4倍55268 / 53約4倍京都大学 医学部換算前700/1000以上から約3倍100288 / 100換算前630/900以上から約3倍大阪大学 医学部換算前700/1000以上から約3倍93256 / 92換算前630/900以上から約3倍神戸大学 医学部約3倍92278 / 92約3倍京都府立医科大学 医学部3倍99289 / 1003倍大阪公立大学 医学部換算前700/1000以上から約3倍77275 / 80650/900奈良県立医科大学 医学部730/900以上から15倍2257 / 2215倍和歌山県立医科大学 医学部換算前630/900以上から約3.4倍64284 / 64換算前630/900以上から約3.4倍鳥取大学 医学部613/920以上78194 / 79600/900以上島根大学 医学部約8倍58487 / 58約8倍岡山大学 医学部約3倍94291 / 95約3倍広島大学 医学部約5倍92397 / 90約5倍山口大学 医学部7倍55322 / 557倍徳島大学 医学部600/900以上かつ5倍55146 / 62600/900以上かつ5倍香川大学 医学部約4倍76410 / 79約4倍愛媛大学 医学部約6倍55569 / 55約6倍高知大学 医学部4倍59446 / 604倍九州大学 医学部約2.5倍105265 / 105約2.5倍佐賀大学 医学部約5倍50187 / 50約5倍長崎大学 医学部約5倍76588 / 76約5倍熊本大学 医学部約4倍87433 / 87約4倍大分大学 医学部約3倍65366 / 65約3倍宮崎大学 医学部約6倍45250 / 45約6倍鹿児島大学 医学部約5倍69294 / 69約5倍琉球大学 医学部約5倍70347 / 70約5倍実際に足切りはどのくらい実施されている?大学によっては、足切りの実施予告基準を超えたとしても足切りを実施しないこともあります。2024年度入試においては、例えば以下のような複数の大学で志願者数が基準倍率を上回っていても足切りが実施されませんでした。弘前大学(予告8倍):志願者倍率8.1倍滋賀医科大学(予告約4倍):志願者倍率4.4倍以下の表には、過去4年間(2021〜2024年度)のうち、足切りが実施された年度が3年以上ある大学をピックアップしています。共通テストの結果を踏まえて足切りラインが気になっている受験生は参考にしてみてください。ただし、これまで足切りが実施されていないからといって、今年度も足切りが実施されないとは限りません。共通テストリサーチの結果や、足切り予想、出願動向などの最新の情報を確認しながら、出願校を決定するようにしましょう。2024年度2023年度2022年度2021年度北海道大学 医学部実施せず実施せず実施せず実施せず札幌医科大学 医学部実施せず実施せず実施せず実施せず弘前大学 医学部実施せず実施せず実施せず実施せず秋田大学 医学部実施せず実施せず実施せず実施せず山形大学 医学部実施せず実施せず実施せず実施せず富山大学 医学部実施せず実施せず実施せず福井大学 医学部実施せず実施せず実施せず滋賀医科大学 医学部実施せず実施せず実施せず神戸大学 医学部実施せず実施せず実施せず実施せず奈良県立医科大学 医学部実施せず実施せず実施せず実施せず島根大学 医学部実施せず実施せず実施せず岡山大学 医学部実施せず実施せず実施せず広島大学 医学部実施せず実施せず実施せず実施せず山口大学 医学部実施せず実施せず実施せず実施せず佐賀大学 医学部実施せず実施せず実施せず実施せず宮崎大学 医学部実施せず実施せず実施せず鹿児島大学 医学部実施せず実施せず実施せず実施せず琉球大学 医学部実施せず実施せず実施せず足切りラインぎりぎりだった場合の出願校選び本記事では、国公立医学部の共通テストの足切りラインについてご紹介しました。今年度の共通テストの自己採点を踏まえて、いろいろな悩みを抱えている受験生は多いのではないでしょうか。「共通テストで失敗してしまったが、自分は記述試験の方が得意なので挽回したい」「共通テストの英語リーディングはできたが、リスニングの得点が低かった。どこか相性がいい配点の大学はないか」「国語と社会で大きく転けてしまったが、影響を受けにくい大学はどこだろう」というように、実際の共通テストの結果が、当初志望していた国公立医学部の足切りラインぎりぎりだった場合、出願先の判断に迷ってしまうでしょう。出願校を決めるにあたっては、共通テストの足切りラインやボーダーラインの指標を参考にすることはもちろん大切ですが、試験の配点や個別学力試験の科目、出題形式なども大学によってそれぞれ異なるため、科目別の得点や自身の学力・得意科目に合わせた判断が重要です。スタディカルテLabでは、丁寧なヒアリングをもとに出願校選びのサポートをおこなっています。「A大学とB大学どちらを受験するか迷っている」というような志望校選びや進路のご相談、残り1ヶ月の勉強の進め方や学習計画についてもアドバイスいたします。こちらは共通テストの失敗を受けて急遽志望校を変更したのち、愛媛大学医学部に合格した生徒の合格体験記です。あわせてご参考ください。▶︎ 【医学部合格体験記】共通テストでの失敗を乗り越え、1ヶ月で愛媛大学医学部医学科に逆転合格!医学部受験や個別学力試験対策に関するお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度、スタディカルテLabの学習プランナーにご相談ください。毎週最大5名様まで、30分の無料学習相談を受付中です。▼ 無料学習相談について、詳細はこちらからまた、現在「スタディカルテIntelligence」のLINE登録者に、3分で医学部入試との相性が確認できる『志望校相性診断』を無料でご提供しています。LINEに登録後、簡単な質問に答えていただくだけで、相性の良い志望校を診断することができます。ぜひご活用ください。