例年、50万人近くが受験する大学入学共通テスト。センター試験から切り替わってまだ年数が浅いこともあり、「どうやって対策したらいいのだろう」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。今回は【数学】にフォーカスして、「2022年度の共通テストはどうだったか」「2023年度の共通テストはどのような対策が必要か」を医学部・難関大受験生向けに解説します。ぜひ、これからの共通テスト対策の参考にしてみてください。2022年度の共通テスト数学を振り返る2022年度の共通テストは、センター試験を含めたここ20年間で最も難しかったといわれています。実際、7科目理系型の各科目平均点の合計値を見ていくと、直近の約10年間は510〜550点程度で推移していましたが、2022年度には480点程度まで落ちてしまっています。この主な原因は、数学ⅠA・数学ⅡBの平均点の低下です。大学入試センター発表の平均点推移によると、2022年度は2021年度と比較して、数1Aは約20点低下し37.96点、数2Bは約17点低下し43.06点、と大幅な低下が見られます。医学部受験生の場合、かつてのセンター数学では「90%以上取って当たり前」といわれていました。しかし、2022年度の共通テストにおいては、例年であれば同学力の生徒でも60%~75%の得点率になっていました。つまり、2000年代のセンター試験と比較すると、2022年度の共通テストの数学は明らかに解きにくくなっているといえます。まずは、共通テスト=簡単なテストという認識は間違いだということを押さえておきましょう。2023年度は多少は易化する可能性がありますが、大学入試センターから出されている「令和4年度大学入学共通テスト問題評価・分析委員会報告書」を踏まえると、依然として解きにくい出題が続くことが予想されます。共通テストの数学が難しい原因は?ここまで共通テストの数学が難しくなった原因は何でしょうか?大きく、①出題範囲 ②新傾向の問題 ③時間配分の3つに分けて解説します。① 出題範囲センター試験と同様、共通テストは全範囲からバランス良く出題されます。私大入試や国公立2次試験とは異なり、共通テストで高得点を取るためには「数学ⅠA・数学ⅡB全範囲の基礎学力の完成」が必要です。特に「集合と命題」「データの分析」「図形の性質」といった分野は、毎年対策が遅れている受験生が多い印象です。これらの中でも、特に多くの人が苦戦しているのが「データの分析」。2次試験で「データの分析」からの出題がある大学は少ないものの、共通テストでは10~15点はほぼ確実に出題されるでしょう。解き方に慣れていないと時間が取られてしまうため、入念な対策が必要です。② 新傾向の問題センター試験から共通テストに切り替わり2年目となった2022年度は、本格的に新傾向の問題が出題されるようになりました。具体的には「太郎と花子の会話形式による、複数の解法に関するやりとり」や「日常生活に根付いた問題設定」などです新傾向の問題に共通して言えるのは、純粋な数学の学力に加えて、国語のような読解力が要求されるようになったということです。受験生には、限られた時間の中で問題の要点を素早く掴み、必要に応じて整理し、意図を汲みとった上で誘導に乗ることが求められています。こういった形式の問題は全分野で出題される可能性がありますが、特に「図形と計量」「整数の性質」「場合の数と確率」「図形と方程式」「数列」で出題されやすいでしょう。傾向に慣れていないと、内容によっては大きく失点をする危険性があります。注意しておきましょう。③ 時間配分新傾向に伴い問題の分量が増えたことに加えて、共通テストでは全体的に計算量も増えました。「文章を読み、誘導に乗りながら、少しずつ複雑になる問題を解く形式」に慣れていないと、時間配分が上手くいきません。その結果、センター試験以上に「時間内に問題が解ききることができない」生徒が続出しています。2022年度は、総じて「問題の中には良く練られた良問もあるが、試験時間に対して問題数と計算量が多すぎる」ことが試験の難易度を上げ、受験生の平均点低下に繋がったと考えられています。100mを全力ダッシュするスピードで長距離を走ることができないのと同様、途中で息切れしてしまい最後まで問題を解ききることができなかった受験生が多かったのだと思われます。また、不慣れな出題形式でスムーズに解けないことによる焦りから、力を出しきれなかった受験生が数多くいると考えられます。2023年度の受験で医学部・難関大を目指している皆さんは、共通テストでも高得点を取らなければなりません。難しくなった要因を掴んだ上で、秋以降の学習を考えていきましょう。2023年度に向けて、共通テスト数学はどう対策する?では、2023年度の共通テストに向けて、秋以降は具体的にどのような対策をすればいいのでしょうか?それぞれの学習状況によって必要な対策は異なりますが、毎年よく皆さんにお伝えしていることをご紹介します。① 出題範囲の中に苦手分野があれば早急に穴を埋める医学部・難関大を目指している場合、現時点で分野に穴がある状態は危険です。(特殊な出題傾向の大学を目指し、意図的に特定の教科・分野に絞って勉強している場合を除きます。)例えば、目標得点率が70%の場合、秋の時点で全分野で約50%は得点できるようにしましょう。何度か解いてみてもこの目安を下回ってしまう場合は、そもそも必要な公式や解法の理解ができていないまま問題演習に取り組んでしまっている可能性があります。穴があることに気付いた場合は、早急に必要な学習に戻りましょう。② 時間配分を意識した問題演習をする全範囲の学習がある程度できている人は、特に時間配分を意識しましょう。試験では特定分野の問題に時間をかけすぎてしまうと、それ以外の分野で思うように得点できず、全体の点数に影響が出てしまうからです。本来は10分で解かないといけない問題を、20分くらいかけて解いてしまっているような生徒は毎年続出しています。解ける問題を、より早く正確に解くことを意識してください。知っている問題の解くスピードを上げ、見慣れない問題にいかに時間を確保できるかが勝負になるでしょう。これは2次試験対策にも通じるところがあります。③ 問題演習後は必ず課題分析をする曖昧な問題演習をしても、曖昧な結果しか返ってきません。問題演習後は、点数だけを見て表面的に出来を判断するのではなく、必ず理由も含めて課題分析をするようにしましょう。例えば、模試でベクトルの大問が0点だった場合、「そもそもベクトルを理解しておらず解けなかった」のか「時間が足りなくて解けなかった」のかでは、状況も取るべき対策も異なります。課題分析を行った上で原因に応じた対策を進め、ひとつずつ失点の原因を無くしていきましょう。④ 新傾向の問題は、分野別に十分な問題演習をする新傾向の問題は、共通テスト模試や予想問題パックを上手く活用して、コツを掴むことが重要です。例えば、2022年度の数ⅠAでは、キャンプ場から山頂までの角度を三角比の表を用いて考察させる問題が出ました。数ⅡBの数列も問題設定の文章が多く、グラフから題意を把握しなければいけませんでした。こういった新傾向の問題は、数学の力がある受験生でも、傾向に慣れていないと実力を出し切れない可能性があります。分野別に十分な問題演習を重ね、傾向に慣れつつコツを掴んでいきましょう。秋以降の勉強に迷ったらスタディカルテLabに相談を!いかがでしたか?秋以降の共通テスト対策で大切なのは、試験時間内に目標点を取るためにはどのような学習が必要か?を明確にすることです。共通テスト数学について、さらに詳しい分析レポートが欲しい方は、LINEで「数学の共通テストレポート希望」とメッセージをお送りください。詳細レポートをお届けします。プロの添削が受けられる、「特別対策パック」で万全に!さらに現在、スタディカルテLabでは、共通テストに特化した全4回の「特別対策パック」の受講を受付中!(2022年12月末まで)共通テストの過去問や予想問題集について、ひとりひとりの答案を見ながらプロの視点で分析し、学習課題のあぶり出し、受験本番までの学習計画や勉強方法など、全4回で解説・アドバイスします。特別対策パックの詳細はこちらから。「新傾向の対策をしてもらいたい」「問題は解けるけれども、スピードが足りなくて困っている」「過去問演習は進めているけど、この後どう分析して対策すればいいかが自分では分からない」……そんなあなたからの、スタディカルテLabへのご相談をお待ちしております。※ 共通テストだけでなく、志望校の過去問(赤本 / 青本)に特化しての指導も可能ですので、遠慮なくご相談ください。